NHKは20日、横浜放送局の職員が平成27年5月から28年8月までの間に受信料の辺戻手続きを悪用し、51万円余りを着服していた問題で、管理・監督する立場にあった10人を訓告や厳重注意処分にしたと発表した。問題の職員はNHKが内部調査中に死亡している。
NHKによると、この職員は前払いの受信料を途中解約した人に解約以降分を返金する制度を悪用し、自分と同じ姓の契約者を探し出したうえで、返金が必要になったとする虚偽理由を記載した架空の返戻伝票を起こし、返金先を自分名義の銀行口座にしてだまし取っていた。
返戻伝票には返金の妥当性を証明する書類などの添付が必要だったが、問題の伝票には添付されていなかったという。上司は5万円以上の返戻伝票には自ら添付書類を確認していたが、いずれも5万円以下のものだったため部下に任せていたとしている。NHKは被害額については弁済を求める。
今回の問題を機に、過去2年間の全国の返金データ約190万件について今月末までに全て調査し、同一の返金先に複数回返金している事案などについて、返金先の名義・証明書類の現物など個別に確認し、調査結果を公表するとした。
再発防止策では返金先に指定できる口座名義は契約者名義か振替実績のある口座名義に限定するなどの措置を3月から実施する。また返金伝票の様式を変更し、確認項目ごとにチェック蘭を設け、審査を徹底するなど返金手続きの審査を強化するとしている。
一方、福島放送局記者が平成27年7月から28年9月までの間に150回にわたりタクシー券を不正使用するなどした問題で、この記者を停職2か月に、また別の放送局でタクシー券の不正使用が分かったことを受けて実施した全国調査の際に調査が不十分だったとして10人を出勤停止(3日)や減給などの処分にした。
NHKではすべてのタクシー券を対象にチェックを徹底させるなど、再発防止を徹底するとしている。なお、タクシー券不正使用の記者は不正使用した分17万4180円と不正に受けた手当7万2660円の計24万6840円をNHKにすでに戻している。発表した内容はNHKニュースでも放送した。(編集担当:森高龍二)