東京商工リサーチによると、2016年に休廃業・解散した企業数は2万9,583件(前年比8.2%増)で、調査を開始した2000年以降の最多記録だった2013年の2万9,047件を上回り、過去最多を更新したという。
2016年の企業倒産は8,446件(前年比4.1%減)と8年連続で減少し、26年ぶりに8,500件を下回った。倒産が沈静化する中で、水面下では倒産の3.5倍の企業が休廃業・解散に追い込まれ、年間4万件近い企業が市場から撤退している。
休廃業・解散した企業の代表者の年齢は、60代以上が8割(構成比82.3%)を占めた。業績の先行き不透明感に加え、経営者の高齢化と事業承継の難しさが休廃業・解散の背景にあると思われる。今後、金融機関は企業の将来性を見極める「事業性評価」を重視する姿勢を打ち出しており、休廃業・解散はこれから本番を迎える可能性が出てきた。
産業別では、最多は飲食業や宿泊業、非営利的団体などを含むサービス業他の7,949件(構成比26.9%)。次いで、建設業の7,527件(同25.4%)、小売業の4,196件(同14.2%)、製造業の3,017件(同10.2%)と続き、サービス業他と建設業の2産業で5割を占めた。また、増加率では、10産業のうち運輸業を除く9産業で前年を上回った。
法人別では、最多は株式会社の1万1,568件(構成比39.1%)だった。次いで、有限会社の9,141件(同30.8%)、個人企業の6,711件(同22.6%)、特定非営利活動法人(NPO)の1,322件(同4.4%)と続く。
特定非営利活動法人は2007年と比較すると11.5倍で増加幅が突出している。特定非営利活動促進法(NPO法)が1998年3月に成立、同12月に施行された。2002年12月には改正NPO法が成立(施行は2003年5月)し、着実に法人数が増加したが、1998年のNPO法施行から20年近くが経過し、創業者の高齢化が進む中で後継者のいないNPOの解散の増加が背景にあるとみられる。
休廃業・解散した企業の代表者の年齢別(判明分のみ)では、60代が最も多く34.7%だった。次いで、70代の33.6%、80代以上の13.9%と続き、60代以上が82.3%を占めた。
60代以上の構成比82.3%、80代以上の同13.9%は、ともに2000年以降で最高となった。休廃業・解散の大きな要因に、高齢化と後継者不足があることがわかるとしている。(編集担当:慶尾六郎)