政府が今国会で成立を目指している「テロ等準備罪」について、29日のNHK番組で日本共産党の笠井亮政策責任者は「政府が恣意的に犯罪集団を認定する危険性がある」と指摘した。
また、笠井氏は「準備行為とは何かも明確ではないという問題もある」とした。笠井氏は「対象犯罪が676あり、このうちテロに関するものは167であり、全体の25%だけだ」とし「それ以外も『テロ等』で含めている」。また「政府で300ぐらいに絞る話も出てきているようだが、政府は過去の国会審議の中で、676すべてを対象にしないと国際組織犯罪防止条約を批准できないと説明してきた。だから、名前を変えても、対象を絞っても、過去3回廃案になってきた『共謀罪』と変わりはない」とした。
また「実行行為のみを処罰してきた刑法の原則、思想信条の自由を保障した憲法に違反する大悪法」と強く反対するとした。
自民党の茂木敏充政調会長は「2020年のオリンピック・パラリンピックに、誰が見ても、テロ対策は最重要だということはお分かりいただけると思う。187の国・地域は国際組織犯罪防止条約を締結し、テロを未然に防止する、テロに対し国際協力しているが、日本の場合は国内に担保法がないために条約を締結できないので、緊急の課題になっている」とテロ等準備罪創設の必要を強調した。
また「これまで共謀罪と言われてきたものは、一般の民間団体であるとか、労働組合も処罰の対象になるのではないかと、思想を理由に処罰されるのではないか、などの疑念も強かったので、まったく新しい『テロ等準備罪』を提出する準備をしている」と共謀罪とは違うものだとした。
茂木政調会長は「集団であっても、例えば暴力団であったり、麻薬の密売組織であったり、テロ組織などに限定するし、単に犯罪しようと合意するだけでなく、準備した段階で処罰の対象になる。犯罪対象も676から、相当絞り込まれて、ほんとに必要不可欠なものになる」とアピールした。政府の恣意的介入の余地を完全になくす法整備が求められている。(編集担当:森高龍二)