後場は、前場は踏みとどまった19100円をあっさり割り込み、安値を更新して再開。ドル円は113円台半ば。ワシントンDCからは「大統領が司法長官代理を解任」というニュースが入り、投資家心理を冷やす。オバマ政権下で副長官に任命され、後任者が議会で承認されて着任するまで「とりあえず代理やっといて」と言われていた人で、難民の受け入れ停止を指示した大統領令を支持しないと表明していた。政権交代時はふつう、引き継ぎを楚々と行いながら徐々にギアを上げていくものだが、トランプ政権はいきなりオーバートップでぶっ飛ばす。トランプ批判の矢面に立たされる現場の連邦政府職員は、たまらないだろう。1時に12月の自動車生産・輸出実績が発表された。生産台数は前年同月比+4.21%で2ヵ月連続プラス。軽はわずかなプラスで、トラックはマイナスだった。輸出台数は+2.7%で5ヵ月連続のプラス。2016年通年では前年比-0.8%減の920万4590台で2年連続の前年割れ。軽自動車が17.4%減と大きく落ち込んだ。輸出台数は前年比+1.2%で2年連続のプラスだった。
日経平均は0時台も1時台前半も19100円台に戻れそうで戻れなかったが、1時台後半にようやく19100円を超えてさらに上昇する。2時、12月の建築着工統計の新設住宅着工戸数が国土交通省から発表された。前年同月比+3.9%で6ヵ月連続プラスだったが、市場予測の+8.6%は大きく下回った。持ち家は11ヵ月連続、貸家は14ヵ月連続で増加し、分譲も2ヵ月ぶりに増加に転じたが、空き家リスクが意識されたのか貸家の伸びが15.3%から2.2%に鈍った。2016年通年では前年比+6.4%で2年連続のプラス。2時台は為替は変化が乏しかったが、日経平均はジワジワ下落し昨年の大納会終値も19100円も割り込む。終盤、月末だからと言って「ドレッシング(お化粧)買い」が入ることなどはなく、終盤は電池が切れたように力尽きて安値引けで終了。19000円を下回らなかったのがせめてものなぐさみ。日経平均先物日中取引は19000円割れして終了した。703億円の日銀のETF買いは前日に続き、きちんと入っていた。1月は合計8回、5624億円が入り、年間6兆円を月割りにした5000億円をオーバーした。さて、営業日が少ない2月は超えずにすむだろうか?
コロンビア・ピクチャーなど映画事業で1121億円の損失を計上すると報じられたソニー<6758>は2.26%安。2013年に提携したGMと合弁でアメリカに燃料電池システムの生産会社を設立すると発表したホンダは2.81%安。「America First」の圧力を前に、ハリウッドと自動車で日本企業も泣き笑い。
日経平均終値は327.51円安の19041.34円、TOPIX終値は-22.10の1521.67。売買高は19億株、売買代金は2兆4867億円。値上がり銘柄数は396、値下がり銘柄数は1518。全33業種がマイナスで、その下位は電気・ガス、鉄鋼、海運、輸送用機器、証券、陸運など。上海市場は春節(旧正月)休暇で休場。
毎日、明けても暮れても「トランプ、トランプ」だった1月の売買が終了。昨年12月30日の「大納会」の終値19114.37円から73.03円下落して今月の取引を終えた。月間騰落は昨年9月以来4ヵ月ぶりのマイナスになった。トランプ大統領の就任からまだ10日しかたっていないが、連日連夜いろいろありすぎて、100日ぐらい経過したような感じ。
2月1日の日経平均は3営業日ぶりの大幅反発。ドイツの1月の失業率は5.9%で東西統一後最低まで改善し雇用好調。イタリアは悪化。フランスの10~12月期のGDP速報値は+0.4%で7~9月期から0.2ポイント上昇。EU(欧州連合)統計局が発表したユーロ圏の経済指標は、10~12月期の実質域内総生産(GDP)速報値は年率換算+2.0%で7~9月期から0.2ポイントの上昇。個人消費が好調で15四半期連続プラス。1月のCPIは+1.8%で3年11ヵ月ぶりの伸び。12月の失業率は9.6%で7年7ヵ月ぶりの低水準。1月の購買担当者景気指数(PMI)は54.3で、高水準で横ばい。ECBの「テーパリング(量的緩和縮小)」を後押しそうな数字。しかしアメリカの国家通商会議のナバロ議長がECBやドイツの通貨政策、貿易政策を批判したことでユーロ安が進行し、ヨーロッパ市場の株価は揃って下落した。
NYダウ終値も107ドル安。連日の3ケタ安で3営業日続落。S&P500は4営業日続落したがNASDAQは反発。良かったセクターは業界のトップたちと会談したトランプ大統領が規制緩和を示唆した医薬品セクターぐらい。トランプ政権の大統領令による「入国制限」の問題は、共和党内部からも、トランプ寄りとみられていたゴールドマンサックスからも批判の声があがっていた。
期待感によるトランプ・ラリーを主導した「減税」「公共投資」「規制緩和」は予算執行を伴うため連邦議会で審議が必要で、現状はサインするだけで出せる大統領令が20件も出されて嵐を呼び、株価を下げている。エクソンモービルの決算はガス田で評価損を計上し9四半期連続減益。EPSは市場予測を大きく下回った。アメリカの経済指標もさえない。シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は50.3で市場予測の55.0を大きく下回り、CB消費者信頼感指数は111.8で、15年ぶりの高水準だった12月の113.3も市場予測も下回る。一方、S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は+5.27%で市場予測より良く、雇用コスト指数は+0.5%だった。
原油先物価格は小幅上昇で終値52ドル台。リスクオフで金先物価格は続伸。トランプ大統領が中国とともに日本の為替政策、貿易政策を直接批判したために為替のドル円は一時112円割れ寸前までドル安円高が進んだが、朝方は112円台後半。ユーロ円は121円台後半。大阪夜間取引終値は18980円。CME先物清算値は18980円。
日経平均始値は114円安の18926円。高値は2時23分の19155円。安値は9時1分の18916円。終値は106円高の19148円。前日の記者会見で黒田日銀総裁はトランプ政権の経済政策について「減税やインフラ投資は経済成長を押し上げる」「保護主義は世界の貿易を縮小させ、世界の経済成長を減速させる懸念がある」と述べた。国内経済は「企業収益、雇用環境は改善し賃金上昇の基盤は十分整っている」としながら、景気の先行きは「上振れより下振れリスクの方が大きい」という見方を示していた。
NY株安、為替の円高を受けて日経平均は19000円を割り込んで始まる。TOPIXも2ケタ下落でスタート。開始1分後の18916円を底に反発し30分もしないうちに19000円にタッチ。下がったところで押し目買いする勢力はちゃんと存在する。序盤は19000円の少し下でもみあった後、ドル円が円安方向に振れて113円台を回復するのに助けられて急速な高値追い。プラスに浮上し19050円も突破する。ホワイトハウスが予告する「重大発表」とは連邦最高裁判事の指名のことだったのでひと安心。しかし10時台は再びマイナス圏に舞い戻りトランプ・リスクの壁は厚いものの19000円台は堅持する。中国は春節(旧正月)休暇中だが国家統計局から購買担当者景気指数(PMI)が発表され、製造業は51.3で好、不況の分かれ目の50を6ヵ月連続で上回り、非製造業は54.6で2ヵ月ぶりに上昇と、不安のない内容だった。日経平均は11時までにプラスに戻る。11時台は前日終値付近の小動きになり、前引けはわずか60銭安。TOPIXは-4.00で日銀のETF買いが入るかどうか、やや微妙になった。