国土交通省は1月27日、長時間開かずに事故や渋滞を誘発する、いわゆる「開かずの踏切」の改善を鉄道会社や自治体に義務付けた。同省は1時間に40分以上遮断器が下りている踏切を開かずの踏切と定義付け、全国529ヵ所を指定し、更に2020年度までに1000ヶ所以上の踏切を指定して改善を義務付ける方針だ。
最も多いのは愛知県で69ヶ所が指定された。都心部にJR東海道本線と名鉄名古屋本線、空港線などの主要路線が並走している箇所が多いことが要因だろう。次いで東京都で58ヶ所。特に列車本数が多い京王線が開かずの踏切として有名だ。42都道府県で開かずの踏切が存在し、開かずの踏切は全国的な問題と言える。
開かずの踏切を解消するためには線路の高架化や道路の地中化あるいは橋上化など大規模な改修が必要だが、一方で開かずの踏切を解消する動きも徐々に進んでいる。大阪市淀川区のJR西日本東淀川駅近くにある南宮原踏切は最大で1時間のうち57分も遮断器が下りている踏切として有名だったが、JR西日本と大阪市は共同で歩行者用の通路を橋上化。自動車に関してはアンダーパスに誘導することによって、同踏切を18年末に廃止することを決めている。
また東京都では渋滞が慢性的になっている相模原駅前の大戸踏切を立体交差化。線路の下に道路を通すことで渋滞を改善する計画だ。踏切下の工事を21年から開始する予定で交渉が進められている。
しかし、上記のような具体的な改善がなされる事例は多くない。大規模な改修工事や用地買収等が必要であるため思うように進まないのが現状であろう。高架化の計画が挙がっていても10年以上具体的な動きがないというケースも存在する。
今回国交省の指定によって改めて開かずの踏切問題が明るみになった。事故や渋滞などの原因となり、いち早く解消して欲しいと思うが、踏切待ちを余儀なくされる生活はまだまだ続きそうだ。(編集担当:久保田雄城)