【今週の振り返り】19500円の「壁」が築かれて144円下落した週

2017年02月18日 20:24

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どこかの国境よりも先に、東京マーケットに上値をはね返す「壁」が築かれている。日経平均は19500円、TOPIXは1560

 新規IPOが1件。広告・セールスプロモーションを中心としたコミュニケーションサービス全般の提供を業務とする広告会社、日宣<6543>がジャスダックに新規上場。公開価格1600円より87.5%高い3000円の初値がつき、白星。広告枠を売る広告業は一般に「机と電話だけでできるビジネス」と思われているが、ここは印刷工場を持っている。

 日経平均終値は90.45円安の19347.53円、TOPIX終値は-2.62の1551.07。売買高は20億株、売買代金は2兆2549億円。値上がり銘柄数は774、値下がり銘柄数は1045。プラスは10業種で、その上位は保険、石油・石炭、ゴム製品、その他製品、食料品、金属製品など。マイナスは23業種で、その下位はパルプ・紙、電気・ガス、水産・農林、サービス、精密機器、小売など。上海総合指数は0.51%高だった。

 17日の日経平均は大幅続落。ECB理事会の議事要旨が公表され、「安定的な金融政策を維持する必要がある」と、金融緩和策の縮小には消極的な姿勢を示した。ユーロ圏で重要な選挙が続くことが念頭にある。G20外相会合が、旧西ドイツの首都だったボンで17日までの日程で開会した。ヨーロッパ市場は揃って反落。NYダウはプラスかマイナスか最後までわからなかったが終値7.98ドル高で6営業日続伸。NASDAQ、S&P500は8営業日ぶりに小幅反落した。原油先物は終値プラスでも53ドル台。金先物価格は続伸した。

 新規失業保険申請件数は5000人増加したが23.9万人は依然低水準。住宅着工件数は-2.6%だったが先行指数の着工許可件数は+4.6%で心配なし。フィラデルフィア連銀製造業景気指数は+19.7の43.3で1984年以来33年ぶりの歴史的高水準だった。市場予測の17.5の2.47倍という軍艦も消しそうなサプライズ、フィラデルフィア・エクスペリメントでFRBの3月の利上げをプッシュ。連銀管内に古い重工業地域「ラストベルト」があり、トランプ政権への期待感が強い。

 アメリカの長期金利が低下し、朝方の為替レートはドル円が113円台前半、ユーロ円が120円台後半。ドル円が114円になかなか届かず円高に振れたので、大阪夜間取引終値は19210円。CME先物清算値は19270円。

 日経平均始値は118円安の19228円。高値は10時31分の19275円。安値は9時30分の19173円。終値は112円安の19234円。前日、日本工作機械工業会が発表した1月の工作機械受注額確報値は前年同月比+3.5%で2ヵ月連続のプラス。中国からの受注が+43.3%で14ヵ月ぶりにプラスになった。北米は-18.0%、国内は-4.6%。「春一番」の強風が吹く東京は気温が上昇するが、日経平均は3ケタ安の19200円台前半で始まり、TOPIXもマイナス。NYダウが6連騰しようと、円高は全てをさいなむ。序盤は19200円を割り込み、19173円まで下げた後で反転。テクニカルのトレンド系指標では下値の支えとして25日移動平均の19118円、日足一目均衡表の「雲」の上限19112円がある。10時台、11時台はおおむね19200円台前半での横ばいが続く。為替のドル円も徐々に113円台半ばまで円安方向に戻す。前引けは110円安、TOPIXもマイナスで、前日、7営業日ぶりに入っていた日銀のETF買いの条件を満たした。

 昼休みにドル円が円高方向に反転し、後場は前引けを下回る水準で再開。しかし19200円台を守れず凹んでもその都度反発し、19200円がサポートラインの役割を果たす。円安方向に為替の風向きが変わると、19250円付近まで下げ幅を圧縮するが、それでも3ケタ安の軟調。崩れることはないが上値追いもできない。2時30分に総務省から2016年通年の家計調査の結果が発表された。2人以上世帯の消費支出は名目は-1.8%、物価変動を除いた実質は-1.7%で、3年連続で減少した。2人以上の勤労者世帯の月平均収入は名目で+0.2%、実質で+0.3%、消費支出は実質-1.7%。収入が増えても消費に回っていない。

 2時台は振幅が大きくなっても19200~19250円の50円幅のレンジ内で、利益確定売りの金曜日だがそのまま大引けになり大幅続落で今週を締めくくった。日中値幅は102円。日銀のETF買い704億円は2日連続で入っていたが、19200円での下値サポートにどれほど寄与したかはわからない。東芝は9.23%安で4日続落。どこまで続くぬかるみぞ。その東証2部落ちの先輩、シャープは3月期の通期業績の利益見通しを上方修正したため2.80%高と反発していた。

 日経平均終値は112.91円安の19234.62円、TOPIX終値は-6.53の1544.54。売買高は20億株、売買代金は2兆121億円。値上がり銘柄数は887、値下がり銘柄数は963でそれほど差が開いていない。プラスは11業種で、その上位は食料品、ゴム製品、水産・農林、サービス、その他製品、空運など。マイナスは22業種で、その下位は不動産、石油・石炭、証券、鉱業、輸送用機器、保険など。上海総合指数は0.85%安だった。

 今週の星取は2勝3敗。前週末10日の終値19378.93円から144.31円下落して今週の取引を終えた。週間騰落の数字(絶対値)は今年最少だった。1月第3週から交互に●○●○●で、その直前の1月13日と同じ19200円台に戻るボックス相場を演じている。

 2月は、日経平均にもTOPIXにも為替のドル円レートにも、上値に「壁」が存在してなかなか抜けられない。その壁とは、日経平均は19500円、TOPIXは1560、ドル円レートは115円。日経平均は13、14日にザラ場でタッチしたが終値での19500円クリアは1月5日以来ない。TOPIXは前週、13日から16日まで連日ザラ場で1550台後半まで上昇しながら、2月は一度も1560にタッチできていない。ドル円は5日の東京時間に115円にあと5銭まで迫ったがタッチできなかった。これらの壁を、いつ突破できるのだろうか?

 もっとも、2月は日経平均が終値で18900円を割り込んだ日は1日もない。日経平均連動型のETFを、日経平均が下げて18900円に近づいたら買い、上がって19500円に近づいたら売るというボックス相場を利用したトレードを繰り返したら、それなりに利益が取れそうだが……。(編集担当:寺尾淳)