【今週の振り返り】「日米非連動」で停滞しても48円上昇した週

2017年02月25日 20:23

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NYダウは、わざとらしい滑り込みがありながら、11営業日続伸の連勝街道。日経平均は、円高にさいなまれながら、一進一退を繰り返すばかり

 日経平均終値は130.36円高の19381.44円、TOPIX終値は+8.59の1555.60。売買高は15億株、売買代金は1兆6540億円で相変わらずの薄商い。値上がり銘柄数は1227、値下がり銘柄数は629。プラスは31業種で、上位は印刷用紙を大幅値上げして株価が6.76%高になった日本製紙<3863>などパルプ・紙を筆頭に、保険、繊維、電気・ガス、証券、輸送用機器など。マイナスはソフトバンクGとNTT<9432>がマイナスで終えた情報・通信と水産・農林の2業種。上海総合指数は0.41%高だった。

 22日の日経平均は3営業日ぶりに小幅反落。今年前半の世界最大のイベント、フランス大統領選挙は最新の世論調査でルペン氏の支持率が上昇し、不安を呼んでフランスの国債が売られユーロが下落した。ヨーロッパ市場はフランスはマイナス、英国はプラス、ドイツは大幅高で2015年4月以来の高値になった。欧米でPMI(購買担当者景気指数)の発表相次ぐ。ドイツは1.3ポイントプラスの56.1で約3年ぶりの高水準。フランスは2.1ポイントプラスの56.2で約6年ぶりの高水準。ユーロ圏全体では2.4ポイントプラスの56.0で約6年ぶりの高水準。いずれもマイナスの市場予測を良い方に裏切った。しかしアメリカは54.3で市場予測よりも悪く、2ヵ月ぶりに低下していた。

 3連休明けのNYダウは118ドルの大幅高で8営業日続伸。20700円台に乗せる。どうにもとまらない。NASDAQ、S&P500は反発。原油先物価格は3営業日続伸し54ドル台に乗せ、年初来高値更新。金先物は反落した。クリーブランド連銀のメスター総裁がシンガポールでの講演で「アメリカ経済は健全。利上げに不安はない」と発言していた。朝方の為替レートはドル円が113円台後半、ユーロ円が119円台後半。大阪夜間取引終値は19440円。CME先物清算値は19445円。

 アメリカの小売業の1~11月期決算発表。百貨店のメーシーズは減収減益だったがEPS(1株あたり利益)は市場予測を上回った。大規模な人員整理の犠牲の上に「34丁目の奇蹟の復活」なるか? 世界最大の流通グループ、ウォルマートは増収減益だがEPSは市場予測より良く、買収効果が出てネット販売が29%増と好調。ホームセンターのホーム・デポは増収増益でEPSは市場予測を大きく上回り、増配も自社株買いも発表し気前よく株主還元。新築も中古も住宅販売が好調だとホームセンターの商品も売れる。

 週末に「クラフト・ハインツがユニリーバの買収を断念」と伝えられ、クラフト・ハインツの株価は下落。ユニリーバの株価もロンドン市場で20日から続落した。ユニリーバはシェルと同じく英国とオランダの合弁なので、英国のEU離脱で股裂きになる。顧客情報が流出したヤフーの買収額を減額したベライゾンの株価は上昇。ヤフーもプラスだった。

 アメリカのティラーソン国務長官が22日に〃仮想敵国〃メキシコを訪問してペニャニエト大統領と会見すると発表され、メキシコペソ急騰。トランプ政権は「父親(大統領)がカミナリを落とし、母親(閣僚)がなだめる」というパターンか? だとすれば、就任後1ヵ月は閣僚の選任、議会承認が進まず、「母親不在」でカミナリばかりが落ちていた。

 日経平均始値は37円高の19419円。高値は始値で「寄り天(寄り高)」。安値は11時0分の19329円。終値は1.57円安の19379円。9時に厚生労働省から12月の毎月勤労統計の確報値が発表され、実質賃金は前年同月比+0.1%で、-0.4%の速報値からプラス転換。1人平均の現金給与総額(名目賃金)は+0.5%で速報値の+0.1%からプラス幅拡大。所定外給与-1.1%、特別給与+0.8%も速報値から上方修正された。2016年通年では実質賃金は前年比+0.7%で速報値と同じで、5年ぶりのプラス。1人平均の現金給与総額は+0.5%、特別給与は+2.4%で、どちらも速報値から上方修正されていた。

 日経平均は19400円台に乗せて始まり、TOPIXもプラス。19500円タッチもあるかと思われたが、序盤は始値を「寄り天(寄り高)」に約60円幅で乱高下。いったん22円安のマイナス圏まで落ちた後、37円高まで戻したかと思えば、10時台に再び下げてマイナスにタッチという忙しい展開。その要因は113円台後半で乱高下したドル円レート。10時台は前日終値付近で落ち着いたように見えたが、10時45分頃から東京市場の宿敵「為替の円高進行を伴う先物主導の仕掛け売り」が牙をむいて急落。11時までに、ドル円は113円台後半から前半に変わり、日経平均は19390円付近から19330円付近まで60円下がった。その時刻、中国の1月の主要70都市の新築住宅価格動向が発表され、各都市の住宅購入制限政策の影響で上昇都市が12月から1つ減り45になったが、売りの口実は何でもいいのだろう。11時台は19350円付近まで戻すのがやっとで、前引けは36円安。TOPIXも1ポイントを超えるマイナスなので日銀のETF買いが入る条件は満たしているはずだが、3営業日連続の後に1日おいただけなので、どうなるかわからない。