10~12月期の実質GDP改定値は前期比+1.9%で速報値からの修正はなく、市場予測の+2.1%より低い。個人消費は上方修正、設備投資は下方修正。それ以外の経済指標は良く、S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+5.8%で2年半ぶりの高水準。シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は57.4で前月の50.3から大幅上昇し2014年12月以来の高水準。CB消費者信頼感指数は114.8で2002年7月以来の高水準。しかし小売業のターゲットの決算は減収減益でEPS(1株当たり利益)も市場予測を下回り、次期の見通しも慎重だった。
トランプ演説待ちのリスクオフでアメリカの長期金利が低下し、朝方の為替レートはドル円112円台後半、ユーロ円119円台前半。NY時間終盤にサンフランシスコとNYの連銀総裁が「3月もありうるか?」と思わせるような利上げがらみの発言を連発し、大阪夜間取引終値は19130円だがCME先物清算値は19180円まで上昇した。
日経平均始値は107円高の19226円。高値は2時31分の19414円。安値は11時4分の19164円。終値は274円高の19393円。取引開始前に財務省から10~12月期の法人企業統計が発表された。金融、保険を除く全産業の設備投資額は前年同期比+3.8%で2四半期ぶりのプラス。製造業は+7.4%、非製造業は+1.9%。GDPの算出に使われるソフトウエアを除く全産業の設備投資額は+3.5%。全産業売上高は+2.0%で製造業が-0.1%、非製造業+2.8%。経常利益は+16.9%で製造業が+25.4%、非製造業+12.5%。
この日から月が替わって弥生、決算期末の3月。暦の上ではすでに春だが、東京市場はトランプ演説直前で重苦しいムードが漂う。それでも日経平均は3ケタ高で開始し、序盤でおよそ100円上昇して19300円を一気にゴボウ抜き。早朝からの円安はさらに進行し9時台のうちにドル円は113円台に乗り、ユーロ円は119円台後半に。これでドライブがかかった。円安を全てを癒す。その後は200円高を超える19300円台前半で安定する。中国の2月の経済指標発表。10時発表の国家統計局の製造業PMIは51.6で前月より0.3ポイント上昇し、市場予測を上回る。非製造業PMIは54.2で前月より0.4ポイント低下。45分遅れの財新の製造業PMIは51.7で前月より0.7ポイント上昇し、市場予測を0.9ポイント上回った。「中国リスク問題なし」の結果だが、日経平均は19300円台半ばから19200円台前半まで急落し、世界的イベントを前に心騒いで気もそぞろ。
午前11時。ワシントンDCでは夜9時、トランプ大統領の連邦議会演説が始まった。鬼が出るか、蛇が出るか。演説の途中、103円高の192222円で前場終了。日銀のETF買いは入らない水準。大統領の演説では経済政策の部分で「インフラ投資1兆円」と「減税」が盛り込まれ、通商問題では中国が名指しされたが日本はされなかった。ドル円レートは演説途中で113円をはさんで上下するが、終了時は113円台前半だった。
後場の日経平均は19300円台に乗せて再開する。演説で言及されたソフトバンクG<9984>は100円ほどはね上がって後場寄りし、さらに上昇。この銘柄は「寄与度御三家」なので日経平均を押し上げる。0時台のうちに19300円台後半まで上昇。イベントは、ただ通過して区切りがついただけでも買い材料。時間外取引でアメリカの長期金利が上昇し1時台のドル円は113円台半ばに水準を上げ、日本平均は高値を更新し19400円にタッチ。ワルノリではなくナチュラルな感じの上昇ぶり。
2月の新車販売台数(登録車)は前年同月比+13.4%の2ケタ増で7ヵ月連続のプラス。乗用車が+14.4%(普通乗用車は+9.3%)、小型乗用車は+20.6%。軽自動車販売台数は-2.0%で2ヵ月連続でマイナスだった。2時台は19400円に何度もタッチするが、乗せきれずに小動き。ドル円は113円台半ばで動きがなくなり、トランプ演説を織り込み済み。「あとはNY市場を見たい」なのか終盤も状況は変わらず19400円に乗るか、そるか。結局、大引けでは7円足らなかった。TOPIXは1550台を回復。日中値幅は250円もあった。「大統領の盟友」孫正義氏率いるソフトバンクGは2.64%の大幅上昇だった。