9日の日経平均は5営業日ぶりに反発。英国政府が2017年のGDP成長率予想を+1.4%からECB目標と同じ+2.0%に引き上げたが、FTSE100は下落。ドイツ、フランスの株価は上昇したがECB理事会直前でもあり小幅。NYダウのプラスは序盤だけで、終盤下げ幅を拡大し69ドル安で3営業日続落。NASDAQはプラス、S&P500はマイナス。ダウの下落はひとえにエネルギー省の週間石油在庫統計で過去最高の積み上がりがあり、原油先物価格が2.86ドルも下落し50ドル台になったこと。暖冬だったアメリカは気温が上がってすっかり春めいている。金先物は7営業日続落。
連邦政府の雇用統計のオープニングアクト(前座)、ADP全米雇用リポートの非農業部門雇用者数は29.8万人増で市場予測を大きく上回った。建設業、製造業が好調。10~12月期の労働生産性指数改定値は+1.3%で市場予測を下回った。卸売在庫改定値は-0.2%で速報値も前月値も下回り、13ヵ月ぶりの大きな落ち込み。卸売売上高改定値は-0.1%で前月から2.5ポイントも悪化した。アメリカの長期金利は一時2.58%まで上昇し、為替のドル円は一時114円74銭までドル高円安が進行した。朝方は114円台半ば。ユーロ円は120円台後半。大阪夜間取引終値は19340円。CME先物清算値は19320円。
日経平均始値は89円高の19343円。高値は9時25分の19350円。安値は11時10分の19262円。終値は64円高の19318円。前日大引け後3時に内閣府が発表した2月の景気ウオッチャー調査は、現状判断DIが前月比-1.2ポイントの48.6で2ヵ月連続マイナス、2ヵ月連続の50割れ。天候要因もあるが「プレミアム・フライデー」の効果もなし。先行き判断DIは+1.2ポイントの50.6で3ヵ月ぶりのプラスだった。景気判断は「持ち直しが続いているものの、一服感がみられる」で据え置き。取引開始前に日銀が発表した2月のマネーストック(通貨供給量)は、M2は+4.2%、M3は+3.6%。厚生労働省が9時に発表した1月の毎月勤労統計速報値は、実質賃金は前年同月比横ばい、現金給与総額は+0.5%、所定内給与は+0.8%増で16年10ヵ月ぶりの大幅な増加、フルタイム労働者の所定内給与は+0.4%で2016年平均の+0.6%を下回った。パートタイム労働者数が減ってフルタイムが増えていた。
最近は火曜、水曜をパスしてフェイントをかけてくることもあり油断できないメジャーSQ週の木曜日。日経平均は89円高で19300円台に乗せてスタート。TOPIXも大幅なプラス。取引開始前の為替は対ドルも対ユーロも円安が進行し、まさに「円安は全てを癒す」。序盤は19350円台半ばまで上昇するが、高値追いはそこまでで19400円まで50円も差がある。10時台には一時19300円を割り込む。10時30分に中国の2月の経済指標が2件発表された。消費者物価指数(CPI)は前年同月比+0.8%で1月から1.7ポイント低下し2年1ヵ月ぶりの低水準。市場予測を大きく下回った。一方、工業生産者出荷価格指数(PPI)は+7.8%で2008年9月以来8年5ヵ月ぶりの高い伸び。エネルギー価格の上昇と景気の持ち直しによる需要増が効いた。前日発表の貿易収支は91.5億ドル(約1兆400億円)の3年ぶりの赤字だった。輸出がアメリカも日本もヨーロッパも減少し、資源の輸入価格が上昇したことで赤字になった。上海市場は小幅安で始まり、終日低調。
三鬼商事が11時に発表した2月末現在の東京都心部5区のオフィス空室率は、前月末比0.04ポイント低下(改善)の3.70%で2ヵ月ぶりに低下。3.3平方メートルあたりの平均賃料は前月末比+0.39%で、38カ月連続で上昇している。11時前から日経平均は一段安になり一時19262円まで下げるが、為替のドル円は114円台前半で安定し、需給要因による為替の円高を伴った先物主導の仕掛け売りではない。メジャーSQ前に先物の期先(6月限)へのロールオーバーが順調に進み、需給不安は遠のいている。それでも19300円を回復できないままに前引け。プラスなので日銀のETF買いはまず入らない。
為替の動きは乏しく、後場はほぼ前引け水準で再開。しばらくは19280円台で横ばいだったが、1時を回ると上昇して19300円台を回復する。しかし薄商いの中、それ以上の上値追いはできず19320円を軸にプラスマイナス20円幅の小動きが延々続く。今週の後場はこのパターンが目立つ。結局そのまま64円高で大引け。10日のメジャーSQ、アメリカ雇用統計、15日のオランダの総選挙、アメリカの予算教書、14~15日のFOMC、15~16日の日銀会合、17~18日のG20財務相・中央銀行総裁会議に19日からの安倍首相のヨーロッパ訪問と前途にイベントがてんこ盛りでは、円安になっても投資家がうかつに動けないのも無理はない。日経ジャスダック平均は20営業日続伸。前日のバルセロナの「カンプ・ノウの奇跡」以上に奇跡的。連勝の始まりは2月10日だった。
任天堂は5営業日ぶりに反落し、東芝<6501>もソフトバンク<9984>も株価を下げた。金融庁が大手3グループから地銀の特別検査に入るニュースが日経新聞紙面に大きく出たが、横浜銀行+東日本銀行のコンコルディアFG<7186>は0.19%高、千葉銀行<8331>は1.02%高、静岡銀行<8355>は0.31%高、ふくおかFG<8354>は0.19%高。足利HD+常陽のめぶきFG<7167>はマイナスだが0.60%の小幅安。金融庁なんか怖くない? 銀行が大蔵省の検査を極端に嫌がって、同級生の人脈がある東大出の「MOF担」を使って懸命に動向を探らせたのは、もう昔話か? それでも金融庁はメディアを使って「地銀再編待ったなし」のイメージ操作はできた。値上げするヤマトHDも金融庁も、最優秀演出賞。
新規IPOが1件。プリント基板のEコマース事業を運営するピーバンドットコム<3559>が東証マザーズに新規上場。公開価格1650円の2.13倍の3530円の初値がついた。3月の新規IPOの2番打者もクリーンヒットを放ち、今週は2連勝。
日経平均終値は64.55円高の19318.58円、TOPIX終値は+4.43の1554.68。売買高は15億株、売買代金は1兆8791億円の薄商い。値上がり銘柄数は1216、値下がり銘柄数は625。プラスは21業種で、その上位はゴム製品、精密機器、ガラス・土石、非鉄金属、金属製品、証券など。マイナスは12業種で、その下位は鉱業、鉄鋼、電気・ガス、石油・石炭、倉庫、保険など。上海総合指数は0.74%安だった。
10日の日経平均は大幅続伸。ECB(ヨーロッパ中央銀行)理事会の結果が発表され、金融政策は現状維持だがドラギ総裁は記者会見で「デフレへの勝利宣言」をした。金融緩和政策維持の必要性を強調しつつ追加緩和の必要はないと表明。「出口」は言及なし。2017年のユーロ圏のGDP成長率見通しは0.1ポイント上方修正し+1.7%。インフレ率見通しは0.4ポイント上方修正し+1.7%。ヨーロッパ経済、春めく? ユーロ高になり金融を中心にドイツ、フランスの株価は上昇したが、ロンドンFTSE100は6営業日続落。ブリュッセルでEU首脳会議が開会し、ポーランド出身のトゥスクEU大統領を再選した。