【今週の振り返り】年度末には世紀末が待っていた353円安の週

2017年04月02日 10:21

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28日の権利付き最終売買日は217円高。29日の権利配当落ち日は14円高。だが年度末に世紀末的な下落を喫し、権利配当落ち分約130円は、結局埋まらず。

 ウォールストリートジャーナルが「トランプ政権はカナダ、メキシコにNAFTA(北米自由貿易協定)の大幅修正を求めない」と報じたがホワイトハウスは沈黙。EU機関の欧州委員会のユンケル委員長が「トランプ政権が加盟国にEU離脱をそそのかすなら、我々はオハイオ州とテキサス州に独立を働きかける」と発言。シェールオイル/ガスの本場テキサス州は19世紀、ハワイ王国と同様に独立国だった。ユンケル委員長はオハイオとハワイを言い間違えた? アメリカの長期金利が低下し、朝方の為替レートはドル円が111円台後半。ユーロ円が119円台半ばでドル高ユーロ安。大阪夜間取引終値は19200円。CME先物清算値は19180円。

 日経平均始値は107円高の19170円。高値は11時26分の19210円。安値は終値で「安値引け」。終値は153円安の18909円。取引開始前は月末の金曜日恒例、政府発表の2月の経済指標ラッシュ。有効求人倍率は1.43倍で横ばい。新規求人倍率は0.01ポイント低下の2.12倍。正社員求人倍率は0.92で横ばい。11ヵ月連続で全都道府県が1倍を超えていた。完全失業率は2.8%で、前月、市場予測の3.0%よりも0.2ポイント改善。1994年6月以来22年8ヵ月ぶりの良さ。当時は戦後最も短命の羽田内閣の時。

 消費者物価指数(CPI)の2月全国は+0.2%で市場予測と一致。2ヵ月連続プラス。3月東京都区部は市場予測の-0.2%より低い-0.4%。家計調査の二人以上世帯実質消費支出は-3.8%で、市場予測の-2.1%より悪く12ヵ月連続マイナス。鉱工業生産指数速報値は前月比+2.0%の102.2で2ヵ月ぶりの上昇。基調判断は「持ち直しの動き」で据え置き。

 日経平均は3ケタ高の19170円で始まる。TOPIXも大幅高。序盤から3ケタプラス圏の小動きで、変動はおおむね19160~19180円の狭いレンジ。その間に為替のドル円は112円台に乗せる。10時に中国の国家統計局発表の3月のPMIが発表された。製造業PMIは51.8で前月から0.2ポイント上昇し市場予測の51.6を上回った。非製造業PMIは55.1で前月から0.9ポイントも上昇し2014年5月以来約3年ぶりの高水準に達する。中国リスクは心配なし。日経平均は11時前にいったん凹んで安値をつけた後、11時台にかけては高値追い。しかし前引け直前に19210円まで達したところで頭を抑えられ、19200円を割り込んでの前引け。週末、月末、年度末が重なると利益確定売りが厳しい。それでも日経平均は3ケタ、TOPIXも2ケタの上昇で日銀買いの資格はなし。

 昼休みのドル円レートは112円台を維持しいたが、後場の日経平均は前引けよりプラス幅を縮小して再開する。それでも3ケタ高には変わりない。1時台前半までは19150円前後をキープしていた。1時に日本自動車工業会が発表した2月の自動車生産・輸出実績は、生産台数は前年同月比+11.16%増の2ケタ増で、4ヵ月連続のプラス。乗用車も軽自動車もトラックもプラスで、小型乗用車は+28.74%。不振をきわめた軽自動車は+13.46%と回復していた。

 ところが、為替が112円台をかろうじてキープしていながら、日経平均は1時台後半からズルズル下がっていく。それでも1時台はなんとかプラスを維持していたが、2時の時報とともにマイナスに落ち、さらに下落していく。週末、月末、年度末の手じまい利益確定売りの「三重苦」にさいなまれ、「ドレッシング(お化粧)買い」の気配もなし。お化粧どころか「泥んこ美容」施術中。2時に国土交通省から発表された2月の住宅着工戸数は前年同月比-2.6%で8ヵ月ぶりのマイナス。市場予測の-1.2%を下回った。持ち家は+1.6%、貸家は+6.8%で16ヵ月連続プラス。分譲は-17.9%の大幅減だった。2時台前半の日経平均は19000円の大台割れ寸前まで下げる。ここまで下がると日足一目均衡表の「雲」の下。売り勢力は容赦なく、為替の円高が進んでドル円が112円を割り込むと、終盤にはまるで2016年度をきれいに清算するかのように、とうとう19000円の大台を割り込んでしまう。年度末の最後の最後になって「決算対策売りの隠し玉炸裂」なのか、ポジションの大幅調整なのか、カタストロフがやってきた。これは年度末の土壇場なのに政府が「プレミアム・フライデー」を強行することへの天罰なのか? 円高も止まらなければ、日経平均のマイナス幅も100円を超えて、なすすべもなく下落。「年度末=世紀末」の地獄への逆落としは大引けの時間切れで終了し安値引け。日中値幅は301円もあった。

 前日大引け後、森永製菓<2201>と森永乳業<2264>が経営統合を結局見送った。森永製菓は6.79%安、森永乳業はストップ安比例配分の15.37%安。製菓・乳業統合の先輩、明治HD<2269>はプラスの時間帯もあったが0.96%安だった。アメリカの商務省が鉄鋼業界の「反ダンピング関税」の実施を発表し、日本ではJFEHD<5411>傘下のJFEスチールと東京製鐵<5423>が槍玉に挙がった。ロス商務長官は「アメリカの鉄鋼業界を救う」と述べたが、その陰で日本のメーカーは犠牲になる。これぞ「アメリカ・ファースト」。もっとも、JFEHDの株価はほとんどの時間はプラスで0.50%安、東京製鐵の株価は0.32%の逆行高だった。総会イベントを通過した東芝は3日続伸。ソニー<6758>は3日連続で昨年来高値を更新した。

 新規IPOが1件。広告事業、恋愛マッチングアプリ「Omiai」などのメディア事業を手がけるネットマーケティング<6175>がジャスダックに新規上場。公開価格1140円より36.1%高い1552円の初値がついた。前日、東証マザーズに新規上場し初値がつかなかったユーザーローカル<3984>に初値がついた。公開価格2940円の4.25倍の12500円の大勝。東京市場「春のIPOまつり」の3月が終了し、全部で21件あったが19勝2敗、勝率90.4%。2敗はともに東証1部への再上場。1円差の辛勝、上場延期もあったが、日経ジャスダック平均が10日まで21営業日続伸するなど活況を呈した新興市場の勢いが、そのまま反映されたような好成績だった。

 日経平均終値は153.96円安の18909.26円、TOPIX終値は-14.99の1512.60。売買高は22億株、売買代金は2兆5881億円。値上がり銘柄数は270、値下がり銘柄数は1677。プラスは電気・ガス1業種。マイナスは32業種で、下位は倉庫、水産・農林、鉱業、卸売、海運、医薬品など。上海総合指数は0.38%高だった。

 今週の星取は2勝3敗。前週末24日の終値19262.53円から353.27円下落して今週の取引を終えた。3週連続マイナス。週央の28、29日に3月期決算銘柄の権利確定イベントがあったが、その権利配当落ち分130円を足しても223円の大幅安。3月の取引も終了。2月28日の終値19118.99円から209.73円下落して今月の取引を終えた。配当権利落ち分を足してもマイナス。2017年は1月マイナス、2月プラス、3月マイナスときている。

 2017年3月期(2016年度)の「年度騰落」のまとめ。2016年3月31日終値から2017年3月31日終値までに、日経平均は2150.59円高で12.8%上昇。TOPIXは+165.4で12.2%上昇。JPX日経400は+1360.66で11.1%上昇。東証マザーズ指数は+50.09で4.9%上昇。日経ジャスダック平均は+585.78で23.8%上昇。東証2部株指数は+1614.74で36.8%上昇。東京外国為替市場のドル円レートは-0.56円で0.49%の円高。ユーロ円レートは-7.57円で5.95%の円高。NYダウは2978.13ドル高で16.8%上昇、上海総合指数は+218.59で7.27%の上昇だった。(編集担当:寺尾淳)