太陽光関連事業者の倒産が68件で過去最多に 

2017年04月10日 07:13

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2011年3月の東日本大震災を受け、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の固定価格買い取り制度(FIT)が成立。一躍、太陽光関連業界は各方面から有望市場として注目された。

 2011年3月の東日本大震災を受け、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の固定価格買い取り制度(FIT)が成立。一躍、太陽光関連業界は各方面から有望市場として注目された。しかし、度重なる固定買い取り価格の引き下げや、相次ぐ新規参入などで環境は激変し、太陽光関連事業者の淘汰が本格化している。東京商工リサーチによると、太陽光関連事業者の倒産が過去最多を更新した。2016年度(4-3月)の倒産は68件に達し、これまで最多だった2015年度の61件を7件(前年同期比11.5%増)上回ったという。

 負債総額は146億4,100万円(同57.0%減)で半減した。2015年度は新電力の日本ロジテック(TSR企業コード:298943107、東京都)が、2016年3月に負債約120億円を抱え銀行取引停止処分を受け倒産したが、2016年度最大の負債は太陽電池セル製造のPVG Solutions(TSR企業コード:352251875、神奈川県)の約22億円にとどまり、負債総額は大幅に減少した。

 2016年5月に改正再生可能エネルギー特別措置法が成立し、2017年4月1日に全面施行された。経済産業省は多様なエネルギー源の確保や国民負担の抑制、電力の効率的な取引・流通の実現の観点から、太陽光に偏重している再生可能エネルギーの電源間バランスの改善に向けた動きを進めている。今年4月から電力会社との接続契約が未締結の認定は失効し、事業用太陽光発電の買い取りは入札への移行が予定されるなど、太陽光発電への優遇策は大幅に縮小している。このため、安易に参入した太陽光関連事業者を中心に、今後も淘汰が進む可能性が高まっている。

 負債額別では、1億円以上5億円未満が最多の28件(構成比41.1%)だった。前期との比較では、10億円以上が60.0%減と大幅に減少したが、1千万円以上5千万円未満は76.9%増(13→23件)と大幅に増加し、小規模業者の経営悪化が浮き彫りになった。

 原因別でみると、「販売不振」が最も多く36件(構成比52.9%)と全体の半数を占めた。次いで、「事業上の失敗」と「運転資金の欠乏」の11件(同16.1%)だった。

 前期との比較では、「運転資金の欠乏」の175.0%増(4→11件)が突出している。売上高の急拡大から一気に受注減に陥り資金繰りに窮したケースや、業容拡大を見越した過剰在庫で収支バランスが崩れ、資金繰りが破綻した事例が多い。

 太陽光ブームに乗っただけの急成長企業に共通する財務基盤の脆弱さを克服できない企業の倒産は、今後も続発する可能性があるとしている。

 2016年度の太陽光関連事業者の倒産は68件で、2000年1月の集計開始から年度では過去最多を記録した。半期ベースでみると、上半期(4-9月)の20件に対し、下半期(10-3月)は48件と2.4倍だった。特に、2月は単月最多の11件発生し、時間の経過とともに太陽光関連事業者の倒産が加速していることを示している。

 これまでに倒産した太陽光関連事業者は、市場リサーチが希薄で、事業計画の実現性が乏しかったことが共通している。FIT成立で一大ブームを呼び起こし、市場拡大が期待された太陽光関連業界だが、優遇措置や規制の変更などで市場環境が大きく変動することを事業者は改めて認識すべきだろう。今後も、財務基盤のぜい弱な新規参入組や、他業種から安易に参入しノウハウの蓄積が乏しい事業者を中心に、淘汰は高水準をたどるとみられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)