藤原誠文部科学省初等中等教育局長は各都道府県教育委員会教育長に対し「採択権者である教育委員会や学校長は『採択結果』や『その理由』について、保護者や地域住民等に対して説明責任を果たすことが重要」と公正な確保を徹底するとともに、説明責任を果たすよう求める通知を11日までに発出した。
通知では「教科書採択は採択権者の判断と責任により、綿密な調査研究を踏まえた上で適切に行われることが必要」としたうえで「昨年度来、採択関係者に対する検定申請本の内容の開示を伴う不適切な行為や歳暮の贈答や教材の無償提供といった行為、従前より遵守を求めていた宣伝活動等に関するルールを逸脱する行為が多くの教科書発行者において継続的に行われていたことが明らかになった」と公正の徹底を厳守するよう求める背景を提示。
通知では「対象となった者の中に教育委員会関係者や調査員等として教科書採択に関与する立場にあった者が含まれ、教科書採択の公正性・透明性に疑念を生じさせ、教科書に対する信頼を大きく揺るがす事態に至ったことは非常に遺憾」とした。
このため(1)教科用図書選定審議会の委員、調査員等の選任について特定の教科書発行者と関係を有する者が教科書採択に関与することのないよう留意すること。また教科書発行者が負担した交通費・宿泊費,飲食費その他の費用についても本人からの申告によって不明確な点等がある場合には必要に応じて教科書発行者に問い合わせを行うこと
(2)採択期間における教科書見本の取扱いでは教科書見本が教科書の調査研究等を行うために不可欠なものである一方で、教科書発行者による教科書見本の送付は教科書採択の勧誘を目的としたものであるとの認識に立った上で教科書発行者と健全かつ適切な関係を保つこと。
(3)教科書見本と併せて又は個別に内容解説資料その他教科書発行者が広く無償で配布する資料を受け取ることは差し支えないが、資料の名称を問わず、教科書発行者からの不当な利益供与が禁止されていることにくれぐれも注意すること。
このほか、教科書採択に係る教育委員会の会議を行うに際しては静ひつな審議環境の確保等の観点から検討を行い、会議の公開・非公開を適切に判断するとともに、傍聴に関するルールを明確に定めるなど適切な審議環境の確保に努めること。
また、文部科学省から教科書発行者に対して宣伝活動の過熱を防止するため、採択期間においては教科書発行者(教科書の編著作者及び編集協力者、関連する教材の執筆者並びにその他教科書発行者と実質的に関係する者を含む)において新たに採択される教科書に関する説明会、講習会、研修会等を主催しないよう。開催に関与することのないよう指導している。各教育委員会・学校等においてもその趣旨を理解した上で適切に対応することなど細部について通知している。(編集担当:森高龍二)