条件クリア示さず回避なら政権体質が問われそう

2017年06月06日 15:49

 安倍晋三総理は5日の参院決算委員会で学校法人加計学園(岡山市)の大学への獣医学部新設をめぐる疑惑で閣議決定した「日本再興戦略改訂2015」の4つの条件を満たしているのか、との民進党の平山佐知子議員の質問に「(判断に)私が入っていく余地はない」と改めて関与していない旨、強調した。

 平山議員は(1)既存の獣医師養成でない構想が具体化し(2)ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになること(3)既存の大学・学部では対応が困難な場合で(4)近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から検討を行う、との条件が満たされているのかと質した。

 安倍総理は「4条件については、私が判断するのではなく、一義的には特区申請の分科会で議論する。獣医学部の教授が2人出席しているなかで審議をし、そこで決める。私が入っていく余地はない」と答えた。

 一方、野田佳彦前総理はブログで「ボトムアップを前提とする民主党政権時代の構造改革特区では総理の意向が入る余地はなかったが、国の主導で規制緩和のメニューや地域、事業者を決める安倍内閣のトップダウン型の国家戦略特区では長年の友人を特別扱いすることは可能」と指摘している。

 このため、政府には4条件の一つ一つについて、クリアしているのかどうか、客観的データーをもとに詳しく説明し、疑惑の解消を図る政府としての責任がある。

 石破茂前地方創生担当大臣も「(1)感染症対策や生物化学兵器に対する対応などの『新たなニーズ』が明らかであること。(2)それが現在存在する国公立・私立の獣医学部や獣医学科では対応が困難であること。(3)特区として開設を希望し、提案する主体が『このようにして従来の獣医学科とは異なる教育を行う』というカリキュラム内容や、それを行うに相応しい教授陣などの陣容を具体的に示すこと。(4)現在不足が深刻化している牛や馬、豚などの『産業用動物』の治療に従事する獣医の供給の改善に資すること。以上4点について適正に行われたという説明を、具体的な根拠の提示と共に果たせばよい」と政府に説明責任を果たすよう提起している。現況のままでは疑惑は深まるばかり。安倍政権の体質そのものが問われることになりそう。(編集担当:森高龍二)