NTTグループ<9432>の情報通信専門のシンクタンクである情報通信研究所は、2016年のシェアリングサービス市場が既に1兆1800億円に達していると発表した。アンケート調査を元にした推計数字となっている。
インターネット上のマッチングサービスを利用することで、モノやサービスを個人間及び企業から借りるという、シェアリングサービスが広がりつつある。同社ではスペース・モノ・移動・スキル・お金の5分野を対象としてシェアリングサービスの利用状況等のアンケートを実施、合計約2600の回答を得ている。
16年、事業者側はシェアリングサービス提供により合計1兆1812億円の収入を得ていると推定され、本数字を16年の市場規模としている。5分野の内訳としては、スペースのシェア6783億円、モノのシェア2197億円、移動のシェア1181億円、スキルのシェア751億円、お金のシェア900億円となっており、ホームシェア・駐車場・会議室のシェア等が該当するスペースのシェアが約半数を占める結果となっている。
各サービスそれぞれ現状の倍以上の潜在市場を有しているとされ、その全体の潜在市場は2兆6323億円と推定されている。
ただし事業者は1兆円を超す収入を得ているものの、利用による支出は4401億円に留まっている。調査の元となるアンケートは国内を対象に行われている中、民泊を中心とするホームシェアが外国人中心に広く利用され、本調査結果の利用による支出に反映されていない可能性が高い。このことは逆に、日本におけるシェアリングサービスの多くは、訪日外国人観光客により利用されている実態も推定される結果となっている。
日本は規制が多く、シェアリングサービスの普及が海外に比べ遅れていると言われている。しかしながらそれでもシェアリングサービスの市場規模は民泊を中心に市場規模が1兆円を超える規模となっている実態が明らかになった。今後サービスの深化及び規制緩和により、シェアリングサービスの更なる市場拡大及び利便性の向上に期待したい。(編集担当:久保田雄城)