仮想通貨を利用した新しい形の資金調達として、世界中で広まりつつあるICO(Initial Coin Offering)について、中国政府が9月4日に全面禁止の発表を行った。
ICOについては、これまでの案件で数十倍になる案件が発生する等、多くの投資家が注目している。またIPOに比べ資金調達のハードルが低く、大量の資金調達も可能であるため、仮想通貨関係の企業家の注目を浴びていた。
しかしながら資金調達のハードルが低いため、詐欺的な案件や実現可能性の低い案件の存在もあり、ルール整備が求められている。特に中国市場では詐欺的な案件の存在の多さが指摘されていたため、ICO全面禁止は中国政府が問題の拡大が発生する前に、事前に手を打った形となっている。
成功事例のパフォーマンスの良さから、バブル的な様相を呈していたICOではあるが、夏に入り沈静化の兆しを見せ始めていた。そして今回の中国政府によるICO全面禁止であり、ICOは転機を迎える可能性がある。しかしながらICOは新しい形の資金調達手段として世界では認知されつつあるため、ICO自体が無くなることは無いと考えられる。
中国政府のICO全面禁止後、各仮想通貨の価格は下落したものの、その後の値動きは落ち着いている。中国政府のICO禁止措置は、仮想通貨市場に冷静に受け入れられつつある。
中国では仮想通貨の取引は規制がなされているものの、ビットコインのマイニング領域で中国勢は最大の勢力を誇っており、中国勢は仮想通貨界では非常に大きな影響力を有している。中国政府によるICO禁止の影響が、今後中国の仮想通貨界においてどのような影響を与えることになるのか、注目を浴びることになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)