10月22日の総選挙実施は、ほぼ確定といえそうな情勢。25日に安倍晋三総理は衆院解散・総選挙に関し説明すると言われている。2019年10月からの消費税2%引き上げのよる5兆円増収のうち、1兆円は介護や子育てなど社会保障に、4兆円は借金返済に充てるとしていたのを、安倍総理は選挙を意識して、借金返済4兆円から1兆円を教育の無償化を含む子育て支援に回すとか。全世代型社会保障への考えを示し「争点すり替え」を臭わせる。
総選挙があるなら、国民は、森友問題、加計疑惑、原発政策、安保法制、立憲主義に照らし、安倍政権の是非を裁定する好機にすべき。
北朝鮮の核実験はじめ弾道ミサイル発射実験での日本上空(ミサイルは高度550キロから700キロと宇宙空間にあり、日本の領空=高度100キロまで=を侵犯するものではないが)飛翔に、Jアラートを容易に使い、戦中経験者には空襲警報を思い出させるような危機感を煽り、9条への自衛隊加憲、防衛費拡充に理解を得たい狙いかと穿った見方までしてしまう。
安倍総理の最大目標は憲法改正のはず。だが、衆参与党で憲法発議ができる3分の2を確保しながら、28日予定の臨時国会冒頭に所信表明もせず、野党代表質問を受けず、600億円以上の税金を使い『衆院解散・総選挙』に踏み切る。その意図は何か。
野党4党のみでなく、与党議員からも解散に疑問の声があがる。国民感覚からすれば、さきの国会で学校法人森友学園に国有地を8億円値引きし売却、安倍昭恵総理夫人がこの敷地に建設する小学校の名誉校長に一時就任していたことなどから、忖度があったのではないかとされる「森友問題」。国会閉会後、値引き画策が事前に行われた疑惑の音声データが報道されるなど、あらたな資料に基づく追及をかわす為の解散なのか。
同時に加計学園獣医学部新設を巡る疑惑や獣医学部新設4条件(2015年閣議決定)をクリアしているのか不明な中、10月下旬に文科省の大学設置審が認可することになるのではないか、その影響回避を計算した解散・総選挙なのか、とさえ思われてくる。政府が説明責任を果たしていないところに原因がある。
民進党はじめ日本共産党、自由党、社会民主党が憲法53条に基づき臨時国会を召集し「モリ・カケ」問題の疑惑について、国会の場で、国民に丁寧な説明をと6月に要求したにも関わらず、3カ月放置し、やっと28日に臨時国会召集の段取りになったのに、冒頭解散を目論む政府の姿勢。
河野洋平元衆院議長は今月20日の記者会見で「安倍さんは出来るだけ丁寧に国民に説明すると、ずっと言ってきた。それを一度も丁寧な説明もしないで、臨時国会冒頭で解散するというのは理解できない」と野党が批判するのは当然としたが、国民も冒頭解散なら、同じ思いだ。
解散なら、所信表明、野党の代表質問、衆参での予算委員会を行い、国民に信を問わなければならない争点を浮き彫りにして行うのが筋。
安倍政権の政策を振り返ると、経済政策は日本経済団体連合会の政策提言に沿ったもの、アジア・安保政策は米国要求に沿うもの、極端な話、米国に異論を唱えても安全保障関係では米国が主導権を握り、抗議も通じない。
日米合意にもとづいて沖縄嘉手納基地での米軍パラシュート訓練中止を求めても、米軍は地上でのサポート要員が不足しているなどの都合で今月21日も実行した。国内政治は教育を含め特定団体を背景に右傾化が進んでいる。
不祥事議員は離党させるが除名しない、議員辞職勧告はもちろんしない。数代前まで機能していたと思われる自民党の自浄能力やバランス感覚はどこに消えたのか。「安倍一強」の下で行き過ぎた部分を今回の選挙で正常な位置に戻す機会にすることを期待したい。(編集担当:森高龍二)