9条改憲で8党の立場、くっきり

2017年10月16日 08:22

 衆議院議員選挙を22日に控え、選挙運動中の8党の政策担当責任者ら幹部8人が15日、NHK番組に出演し、憲法9条を含む改憲への考えや原発政策、消費税を柱に討論した。このうち憲法9条など憲法改正について各党幹部は次のように答えた。

 自民党の岸田文雄政調会長は「現行憲法の基本原理(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)はしっかり守っていくことは確認している」としたうえで「9条に自衛隊を明記する問題、緊急事態対応、教育の無償化・充実強化、参院の合区問題について議論を党内でしている。憲法は国民のものであり、理解を得ないといけないので、国民に憲法を意識して頂くことに?がればと思っている」と公約に掲げた理由にあげた。

 そのうえで、安倍総裁が当初、2020年の新憲法施行を語り、後に、スケジュールありきではない、と修正したことには「党や国会の議論に委ねたいということなので、我々もスケジュールありきではないと思っている。党内外において、丁寧な議論をしていきたい」とした。

 希望の党の後藤祐一選挙公約担当者は「憲法9条1項、2項は変えるべきではない」とした。後藤氏は「改憲議論は多いに進めたいと思っているが、知る権利を明確に位置付ける、情報公開をより徹底する」ための改憲を考えているとし「森友、加計問題のような隠ぺいが無いようにする」とした。

 公明党の石田祝稔政調会長は「国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義という憲法の基本原理は変えてはいけない大切な原理だと考えている」としたうえで「憲法審査会でしっかり議論すべきだと思う」とした。

 憲法に自衛隊を書き込むことには「自衛隊を違憲と思っている人はほとんどいない」とし「あえて書き込む必要があるのかどうか、自民党の議論を注視したい」と述べた。

 日本共産党の笠井亮政策委員長は「9条に自衛隊を書き込むことになれば、自衛隊追認ということに留まらず、9条2項で戦力を持たない、交戦権は否認するとしている規定が空文化し、海外での無制限での武力行使に道を開くことになる」と指摘。また「憲法違反の安保法制を合憲化することにもなる」と反対した。

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は「違憲の安保法制を追認するような9条の改正には反対する」と断言。そのうえで「自衛隊は合憲と考えている」と語った。改憲では「知る権利や国民の基本的人権を拡大する議論、解散権の制約などの議論は積極的にしていきたい」と述べた。

 日本維新の会の浅田均政調会長は「憲法の制定過程において国民投票を経ていないことを問題と思っている」とし「それぞれ項目をあげて国民投票をすべき」とした。「私たちは教育の無償化や憲法裁判所の設置などをあげている」とした。

 また、9条に自衛隊を明記することには「自民党の議論の結果が出てから、党内で議論を進めたい」と自民の結論を待って、議論するとした。

 社会民主党の吉川元政審会長は「安倍総裁の発言はその場その場の思い付き発言のよう」と指摘。「安倍総裁は、最初、憲法改正の発議要件が3分の2と、きつ過ぎるから2分の1に、と言っていた。そして自民党は憲法草案をつくっている、と言っていたが、今年5月には憲法9条に自衛隊を明記すると突然言い出した。安倍総裁は憲法に手を付けたいだけにしか見えない」と疑問視した。そのうえで「9条を改正すれば自衛隊の箍(たが)が外れる」と9条改正には反対した。

 日本のこころの中野正志代表は「自衛軍の保有、シビリアンコントロール、緊急事態条項を盛り込んだ憲法草案を党として発表している。改憲しようという議論がでてきていることは幸いだ」と述べた。(編集担当:森高龍二)