未来のこどもたちに責任の持てる選択を

2017年10月21日 09:28

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有権者は、それぞれの視点、尺度で、過去5年の安倍政権を裁定し、継続か、交代か。改憲へ加速か、ブレーキか、「未来のこどもたちに責任の持てる選択」を22日、自らの責任でしなければならない

 仕事人内閣として発足後の新閣僚所信表明がないまま、臨時国会冒頭解散で始まった衆議院議員選挙。22日の投開票は憲法改正、安全保障、労働法制で大きな分岐点となる「歴史的選挙」の可能性を秘めている。全ての有権者は自らの意思を投票で示そう。

 平和憲法を平和憲法としてブレず、戦後これまで歩ませてきた根拠規定となっている「憲法9条」を変えるのか、緊急事態条項を追加し、内閣に国会機能(立法機能)まで持たせる権限集中を認めるのか、衆院憲法審査会議論からは、自民党圧勝で憲法に天皇を国家元首に位置付ける発言が強く出る気配もあり、国旗・国歌・元号を憲法に規定することも目指すと予想される。

 また、自公政権圧勝で、結果的には憲法改正への加速と同時に、強行採決で成立してきた安保法制、特定秘密保護法、委員会採決を飛ばし、本会議採決で成立させたテロ等準備罪(共謀罪)を認めること選択になることも否定できない。

 臨時国会冒頭解散要因とされる森友問題、加計学園獣医学部新設疑惑などの今後の国会審議にも影響を与えそう。安倍晋三総理は森友・加計問題から逃げるための解散といわれたが、これまでの国会審議での説明に理解を得られたから自公を勝たせて頂いたのだと思いますよ、とかわすことになるのではないか。

 原発については「安全性を最優先に、原発は重要なベースロード電源として、世界で最も厳しい安全基準に原子力規制委員会が適合していると認めたものは、再稼働を進める」と加速化させることになる。今年度から原発30キロ圏内自治体に申請にもとづき補助金を交付する手立てをとったことも、地元同意を得やすくし、再稼働を促しやすくする狙いがあるのではとの見方もある。

 安全保障で、安倍総理は北朝鮮の核ミサイル開発を止めさせるためには軍事行動も含む「全ての選択肢がテーブルの上にある」とする米・ブッシュ大統領を「日本政府として支持する」と表明した。「軍事行動を除いて支持する」とはしていない。「必要なのは対話ではない、圧力だ」と言い放つ。このことは日本のリスクを高める結果になっていないだろうか。

 Jアラートは戦争体験者に空襲警報を想起させ、子どもたちに不安や恐怖を必要以上に煽る結果になっていないか。地震でのJアラート活用と違い、より慎重であるべきだと感じている。

 これまで北海道上空を飛翔した北朝鮮弾道ミサイルはいずれも上空500キロから700キロの宇宙空間を飛んでいる。日本の領空とされる100キロ圏内にあるわけではない。

 しかし、こうしたことがミサイル攻撃への防御には装備が必要とすることに後押し、軍拡路線への傾向にある。2018年度防衛省概算要求額は5兆2551億円となり、安倍政権下で2015年度から毎年度、過去最大を更新し続けている。この現状をどうみるのかも必要ではないか。

 働き方改革では政府は労働時間規制をなくす「高度プロフェショナル制度」の創設を目指している。適用する対象は年収1075万円以上としているが、適用額は省令で定めることになるため、日本経済団体連合会がもともと制度創設と適用対象を年収400万円以上にすることを要望していた経緯からすれば、創設後、対象年収を引き下げる可能性は否定できない。経営側は人件費削減を当然目指す。株主=経営者の構図でない以上、自らのポスト保身のためにとは考えたくはないが、経営者は株主への配当を気にし、短期での業績ばかり気にする傾向にある。

 安倍政権はアベノミクス5年間で名目GDPは50兆円増、就業者数は185万人増、正社員有効求人倍率は初の1倍超え、若者の就職内定率過去最高、企業収益過去最高、家庭の可処分所得2年連続増加、と経済政策での数値を示している。この数値をどうとらえるかはそれぞれ判断頂きたい。

 有権者は、それぞれの視点、尺度で、過去5年の安倍政権を裁定し、継続か、交代か。改憲へ加速か、ブレーキか、「未来のこどもたちに責任の持てる選択」を22日、自らの責任でしなければならない。日本の未来への責任は有権者が背負うことになる。(編集担当:森高龍二)