日本経済団体連合会が14日、「今後のエネルギー政策に関する提言」を発表し、原発のリプレース、新増設に関して「政府は長期的に原発の果たす役割の重要性について示し、リプレース、新増設を政府施策に盛り込むべきだ」と脱原発への方向とは全く相いれない「新増設」を政策に盛り込むよう求めた。
根拠の一つとして「原子力に関する人材育成と技術開発を続けていくうえで不可欠」などと訴えている。
経団連は「原子力人材・技術の充実は、既設を含む原子力発電所の安全性を高めることに繋がるうえ、安価で信頼性の高い原子力発電所を国内外で建設するうえでも欠かすことができない」と原発輸出も前提。
そのうえで「仮に人材・技術が失われてしまった場合、将来的な原子力発電所の建設・保守・廃止等は他国に依存する他に道がなくなる。わが国が育んできた人材・技術を継承するため、迅速な対応が必要」とし、早期に、リプレース、新増設の方針を打ち出すよう求めた。
さらに、原発事故が発生した場合の補償問題についても「迅速かつ確実な被害者救済と原子力の担い手確保の両立を図るため、原子力損害賠償法の改正にあたっては、原子力事故の賠償において国が現状より積極的な役割を果たすよう見直しを図るべき」などと事業者責任の重みを低減させるかのような提案も織り込んでいる。
安倍政権下で原発は野田政権から180度政策転換し「原発ゼロ社会」への方向から、「原発を電力供給の重要なベースロード電源」と位置づけ、電力供給源の20~22%は原発で賄うと、原発生き残りの基盤を確保した。しかし、脱原発依存を積極的に進めるためには、ベースロード電源の比率そのものを低減させていくことこそ必要で、現行の「エネルギー基本計画」の見直しを今年度中に行うための議論が進んでいるが、世論を2分する課題だけに、新設や建て替えを盛り込むことにはより余程慎重であらねばならない。(編集担当:森高龍二)