政府が掲げる政策のひとつに「人づくり革命」というものがある。これは、安倍晋三首相が掲げる看板政策のひとつであり、その中に含まれているのが「教育無償化」だ。その中には、幼児教育の無償化や高等教育の負担軽減といったものがあり、子育てをするうえでの経済的な不安を解消することで消費の拡大や経済の成長を目指すというのがこの政策の骨子である。もちろん「人づくり革命」とは、決して教育無償化だけではなく介護人材確保のための処遇改善や待機児童をなくすための環境整備など多岐にわたる対策があるが、その中でも教育無償化はこの政策の根幹をなす事業となっている。
そんな教育無償化だが、政府はおよそ2兆円規模の政策パッケージの概要を固めた。この中では大学や高校などといった教育無償化について、住民税が非課税の世帯を対象として授業料を免除する方針となっている。この他、返済不要の給付型奨学金も整備することで授業料の負担を軽減するといった方針も盛り込まれている。ただし、私立高校の無償化についてはこの政策パッケージの中には含まれておらず、今後も継続して検討する方針となっていることから事実上結論は先送りされる形となった。これらの教育無償化を実現するためには高額の予算を確保することが必須であり、2兆円という規模になっているのもそれが大きく関係している。
私立高校の授業料無償化については、この予算に加えて追加で650億円の財源も必要という試算だったが既存予算削減だけではクリアすることが難しいことから検討を継続することとなった。高等教育以外にも幼稚園や保育園の無償化などが盛り込まれた政策パッケージに必要な2兆円の財源は、消費税の増収分や企業負担などでまかなう予定だ。この他にも様々な内容が盛り込まれているものの、私立高校の無償化など財源確保を理由に結論が先送りされた項目も少なくない。
教育にはとかく費用がかかるものである。これは必ずしも親が支払う学費という意味ではなく、国が教育機関を助成する費用も同じだ。この教育無償化に関する課題として最も大きなものは、やはり財源をいかにして確保するのか、という点にある。少子高齢化が進み、税収も減少する中、どうすればこうした政策を実現するための費用を捻出することができるか、政府与党内でもこの点は特に腐心しているところであろう。教育無償化とは、「人づくり革命」という政策の一環ではあるが、今後も政府の発表には常に注目していきたいところである。(編集担当:久保田雄城)