中小企業の業況に一服感、基調としては「緩やかな改善」傾向

2017年12月28日 08:38

画・中小企業の業況に一服感、基調としては「緩やかな改善」傾向

経産省は中小企業景況調査(10-12月期)の結果を公表。「中小企業の業況は、一部業種に一服感が見られるものの、基調としては、緩やかに改善している」。一方、従業員数過不足DIは、-20.6、不足感さらに高まる。

 13日、中小企業庁は中小企業景況調査(2017年10-12月期)の結果を公表した。調査結果を見ると、すべての指標がマイナスを示しており、決して「良い」現況とはいえないが、長期的に改善傾向を持続している。このため調査結果では「中小企業の業況は、一部業種に一服感が見られるものの、基調としては、緩やかに改善している」と結論づけている。

 「良い」から「悪い」を引いた業況判断DIは、全産業において(-)14.4となっており前期に比べ0.4ポイント増加し、2期ぶりの改善となった。

 製造業では、(-)7.9で前期にくらべ3.3ポイント増加し、同じく2期ぶりの改善になった。業種別に見ると、改善したのは、鉄鋼・非鉄金属、その他の製造業、輸送用機械器具、機械器具、金属製品、 電気・情報通信機械器具・電子部品、などの11業種で、窯業・土石製品、化学、木材・木製品の3業種で低下した。

 企業のコメントを見ると「工作機械が活発なため、受注量が多く、納期遅れが発生している。もう少し生産量を増やしたいが、 人手不足もあり思うように増産できない」(鉄鋼・非鉄金属、石川)となっている。製造業について、従業員数過不足DI(「過剰」-「不足」)を見ると、(-)21.3で、前期に比べ4.0ポイント減少しており、人手不足感が深刻化している現況がうかがえる。

 非製造業の業況判断DIは、(-)16.6で前期に比べ0.7ポイント減少し、2期連続の悪化となっている。業種別に見ると、建設業で改善が見られたものの、卸売業、サービス業、小売業で低下し、全体としてマイナス幅が拡大した。

 企業のコメントを見ると「観光客相手なので天候に売上が左右されやすい。今期は週末ごとに台風が来たので客数が大幅減となった」(飲食業、京都)など天候不順も悪化の一要因であることを示唆している。

 非製造業の従業員数過不足DIを業種別に見ると、建設業で(-)33.4で前期に比べさらに3.2ポイント不足、卸売業で(-)15.3で前期に比べ2.6ポイント不足感が高まっており、とくに建設業で人手不足感が深刻であることがわかる。

 中小企業全体としては長期的に改善傾向で推移しているものの、強い人手不足感から需要増に見合った稼働率を達成することができず、十分な改善が難しい現況であると言える。(編集担当:久保田雄城)