安倍晋三総理は5日の衆院予算委員会で無所属の会の江田憲司議員の問いに答え、森友学園問題に絡む昭恵夫人の言動に対し「今回のことを踏まえ、江田議員が言われるように、厳に慎んでいかなければならないと考えている」と一企業、一私人、一私学からの要請に対して、厳に慎重に対応させる旨、答えた。
大臣秘書官や総理夫人担当も務めた経験のある江田議員は「国会での総理の答弁にどうしても納得できない。理解しがたいことがある」と冒頭に提起。
そのうえで「森友問題最大の要因は昭恵総理夫人が名誉校長を引き受けたことにある」と指摘し「学校といえども一私学。そうしたところに総理夫人といえども肩書を貸すことは厳に慎むべきだ」と求めた。
安倍晋三総理は「私の妻であると同時に1人の人間であり、別人格だが、名誉校長を引き受けたことで疑念の目が向けられたということは事実だ」と述べた。
江田氏は「総理夫人といえども、どうしても総理の分身、総理代理としてみられる。信用力抜群だから。それを目当てに集まってくる人もいる。総理は全体の奉仕者であることは憲法でも書かれているが、夫人も総理の分身と見られる以上、一企業、一私人、一私学のために肩書を貸したり、講演に行ったりしないよう(私は総理夫人担当時代)一線をひいていた。総理はどう対応してきたのか」と質した。
安倍総理は「私の場合は(総理なので)一切断っている。妻は『籠池泰典氏から名誉校長就任の依頼があった時、受けないと断ったが、突然、講演の場で名誉校長に就任されたと紹介され、父兄の前で拍手されて、引き受けられないとはっきり言えなかった』ということだった。結果として、受けてしまったことになり、国民の皆様の疑念を招いたということは残念だ」と答えた。
江田氏は昭恵夫人と森友学園の関係をパネルで示し(1)2015年9月5日に建設予定の小学校名誉校長に就任(2)寄付金や児童募集のパンフレットに顔写真とメッセージ(3)学園を何度も訪問、校地予定地を籠池氏と視察、さらに2015年11月、昭恵夫人付き秘書が財務省に照会などなどをあげ「能動的に行動されている」と指摘した。
そして「そうした行動をみれば、役人であれ、国民であれ、これは『昭恵案件』と思うのは当たり前だ」と述べ「昭恵夫人には道義的責任がある」と提起した。
安倍総理は「私も妻も私の事務所も、国有地払い下げの値引き交渉など、金銭的な関与はまったくしていない」と繰り返し強調。
江田議員は「総理夫人といえども、どうしても総理の分身、総理代理としてみられる。今後は一企業、一私人、一私学のために(肩書を貸したり、講演に行ったりなどの言動は)厳に慎むということで良いか」と追及。
安倍総理は「今回のことを踏まえて、江田議員が言われるように、厳に慎んでいかなければならないと考えている」と答弁した。
江田議員は「この問題が終わらないのは、昭恵夫人が国会に出てこられないからだ。証人喚問でも、参考人招致でもいいから、委員会に招致願いたい」と要請。河村建夫予算委員長は「理事会で協議する」とした。(編集担当:森高龍二)