2016年1月から始まったマイナンバー制度であるが、マイナンバーカードの普及は低調だ。18年3月1日におけるマイナンバーカードの交付枚数は1367万2762枚で人口に対する交付枚数率は10.7%である。
最も交付枚数率が高い自治体は、市部で宮崎県都城市の24.2%、町村部で新潟県岩船郡栗島浦村の49.6%となっている。年齢別に見ると、0~19歳では一桁代の前半、20~49歳で一桁代の後半、50~89歳で11~20%となっており、若い世代で低くなる傾向が見られる。
政府はマイナンバー制度の周知・広報とマイナンバーカードの利活用の推進について積極的な取組を自治体に求めている。総務省は3月、年度末・年度初めは住民の来庁機会が増えることを考慮し、「マイナンバーカード取得促進のための先進事例集」を公表、参考事例を提供することで自治体の取り組みを支援する考えだ。
事例集は、1.申請時来庁方式を活用した積極的な申請促進、2.税申告会場の機会を捉えた取得促進、3.ライフスタイルやICTリテラシーに応じた申請・交付のサポートの3つの対応に分類されている。
群馬県伊勢崎市では、市内2つの大型商業施設に相談会、コンビニ交付体験、顔写真撮影を提供する多機能型 の出張窓口を開設、住民の写真の準備等の手間をはぶき、住民の負担軽減と職員の事務の平準化を行い、415件の累積受付実績を実現した。
鹿児島県奄美市では税申告会場においてマイナンバーカード持参者専用受付窓口を設置するとともに同じ手続会場でカード未所持者の交付申請に対応、カード取得への訴求をはかった。
宮崎県都城市では、身分証明書のニーズが高まる専門学校や大学の新入生をターゲットにして学校での申請窓口・交付窓口を開設した。 愛知県犬山市では、高齢者を対象とするマイナンバー説明会を開催、希望者にはその場でカードの申請サポートを実施し、情報ツールに不慣れな高齢者や申請に心理的なハードルを感じている者の適切なサポートを実現した。
マイナンバー制度は現況において主に行政側のメリットしか感じられない。そのために住民のカード申請のモチベーションは高くなりにくい。しかし、行政の効率化は住民にとっても利益であることは間違いない。取得によるメリットの啓蒙や申請時の負担軽減によって普及が進むことを期待する。(編集担当:久保田雄城)