「働き方改革」というのは、現在政府が主導で進めている政策のひとつだが、それに応じて様々な働き方が企業や従業員を問わず模索が続けられている。インターネットの普及もあり、ブラック企業というものについてはすぐに糾弾されるということや、少子高齢化による人材不足から多くの企業が従業員との関係を見直しつつある。こうした背景もあり、 新たな働き方として注目を集めているのが「アライアンス」という働き方だ。このアライアンスという働き方の特徴は、企業と従業員との関係について「信頼」を重視しているというところにある。
もともとアライアンスとは、英語で「提携」や「同盟」といった意味があるように、企業と従業員との雇用についてもあくまでも対等の立場で協力しあうことを大きなテーマとしている。この働き方の特徴は、企業と従業員とが双方の目標を達成することを何よりも重視するという点にあり、企業側の目標や倫理だけで従業員を従わせるのではなく、従業員の目標も含めて双方にとって最適な方法で進めていくという違いがある。企業と従業員とはそれぞれの掲げる目標達成に向けて相互に協力しあい、それぞれの目標を達成することで信頼関係を深めていく。日本ではまだまだ馴染みが薄い働き方といえるかもしれないが、アメリカなど欧米諸国ではこうした働き方が少しずつ浸透しつつあるという。
このアライアンスという働き方におけるメリットは、企業と従業員との間で強い信頼関係ができるというのが大きなところにある。たとえば企業が従業員に目標を押し付けることがないため、従業員にとっての不満が少なく、企業もまた従業員に対しての不満を抱えることが減る。金銭ではなく相互の信頼関係によって結びつくため、両者の関係はあくまでも対等だからだ。しかも、この関係は従業員が退職した後も続けることができる。これまでの終身雇用制度の場合、退職した従業員は基本的に希望しても再びもとの企業に戻ることはできないというケースが多かったが、アライアンスの場合は退職というよりは卒業という形に近く、他社で得た知識や情報をもとに再び自社に取り入れるといったことができるようになる。
アライアンスという新たな働き方が生まれてきた背景にあるのは、やはり現在の社会構造が不安定な状態にあることが大きい。終身雇用制度は安定した社会であれば有効な働き方だったが、現在のような不安定な社会情勢の場合は必ずしも有効とはいえず、そのためにアライアンスのような新たな働き方が生まれたと考えることができる。おもに欧米諸国で提唱される働き方ではあるが、日本においてもこの働き方を導入しているところも増えており、今後の動向が注目されている。(編集担当:久保田雄城)