「孤食」の時代に役割が増す、企業や財団の助成研究

2018年06月03日 15:11

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1日の全ての食事を1人で取る「孤食」の日が週に半分以上あるという人が15.3%となり、6年前の前回調査と比べて約5ポイントも上昇していることが分かった

 5月29日に政府が閣議決定した2017年度版の食育白書によると、1日の全ての食事を1人で取る「孤食」の日が週に半分以上あるという人が15.3%となり、6年前の前回調査と比べて約5ポイントも上昇していることが分かった。主な原因としては、少子高齢化による独居老人の増加や、夫婦共働き世帯の増加、婚姻率の低下などが考えられる。

 一人の食事はどうしても味気なく感じてしまうものだ。余程のグルメか料理好きでもないかぎり、一人だとついつい簡単な食事で済ませてしまうことも多いだろう。そうなるとレトルト食品や外食などが増え、栄養が偏りがちになる。孤食の時代だからこそ、これまで以上に健全な食生活を意識する必要があるのではないだろうか。もちろん、孤食の割合に関わらず、健全な食生活は日本国民全体の健康寿命の促進に繋がる。超高齢社会に突入した我が国にとっては国民全員が考え、意識すべき課題だ。

 そんな中、食生活の改善や予防などに関する研究に助成を行う企業や団体への注目と期待が高まっている。

 蜂蜜やローヤルゼリーなどのミツバチ産品の製造販売で知られる株式会社山田養蜂場も、早くからそんな助成活動を実施している企業の一つだ。同社の「みつばち健康科学研究所」では予防医学の観点からミツバチ産品をはじめとする天然素材で健康を守る研究に取り組んでいるが、その一環として2008年に「山田養蜂場 みつばち研究助成基金」を設立。以来、10年にわたって、公募で集まった研究テーマの中から、幅広い視野をもつ研究者による、創造的で有用なものを選定し、支援を行っている。5月28日に始まった本年度の募集では、健康寿命延伸やQOL(生活の質)向上に関する研究やなどのテーマが挙げられている。助成金額は1件あたり100~1,000万円で、1~3年の助成期間を設けている。

 また、公益財団法人ダノン健康栄養財団も「栄養・食品と健康に関する基礎的、臨床的、または疫学的研究」、中でも、小児および高齢者の栄養、食習慣についての疫学、乳製品・プロバイオティクスの有用性、および食育の効果測定などについて、一般研究助成3件(総額600万円/年以内)と、若手研究助成4件(総額400万円/年以内)を募集している。

 公益財団法人 ひと・健康・未来研究財団も、食品、環境、医学、福祉の研究のうち、同財団の目的である、「 ひとの健やかでこころ豊かな未来を実現するために、 健全な食生活と予防医学に重点をおいた研究、さらに自然との共生を基本に、こころの健康をめざした研究を振興し、もって国民の健康増進と生活の質の 向上に寄与する 」にかなう研究に対し、1件につき20万円~100万円の助成を行っている。

 こういった助成が後押しとなり、超高齢社会の中でも健やかに暮らすための有益な研究結果がどんどん生まれてくることを期待したい。(編集担当:松田渡)