日本自動車販売協会連合会(自販連)が、2018年1~6月半期の登録車国内新車販売車名別ランキングを発表した。上半期、販売台数首位に立ったのは、日産自動車のBセグメントの小型HB車「ノート」だ。
日産車の首位は1970年1月にデビュー、トヨタ・カローラと覇権を競った2代目B110型「日産サニー」以来48年ぶり。B110型サニーは、1973年までの短命なモデルだったが、FRレイアウトの2&4ドアセダン、2ドアクーペ、バン、ピックアップトラックまでラインアップした人気モデルだった。
今回、48年ぶりに日産車首位奪還の原動力となったのが、「ノート e-POWER」、エンジンは発電に徹し、モーターの動力だけで駆動するシリーズ型ハイブリッド方式「e-POWER」による新しい運転感覚だ。
シリーズ型ハイブリッド方式は、第二次大戦前から船舶や鉄道気動車などで使われていた技術で、日産ノートが支持を集めたのは、最先端の技術ではなく「成熟した技術」だった。
■2018年1~6月半期登録車・車名別販売統計
1)日産ノート 73,380台(87.1%)
2)トヨタ・アクア 66,144台(103.1%)
3)トヨタ・プリウス 64.019台(70.2%)
4)日産セレナ 56.096台(103.2%)
5)ホンダ・フィット 47,962台(103.9%)
6)トヨタ・ヴォクシー 47,702台(107.8%)
7)トヨタ・シエンタ 45,417台(84.1%)
8)トヨタ・ルーミー 44,923台(114.9%)
9)ホンダ・フリード 43,984台(72.0%)
10)トヨタ・ヴィッツ 42,529台(82.4%)
※カッコ内は前年比
自販連が発表した2018年1~6月半期販売統計で、日産ノートが7万3380台で首位となり、2位で6万6144台のトヨタ・アクア、3位で6万4019台のトヨタ・プリウスのハイブリッド(HV)軍団を突き放した。トヨタ車は2017年まで年間販売において9年連続で首位を維持している。上半期とはいえ、日産は国内約5割のシェアを持つトヨタの牙城を切り崩した。
日産ノートは、外観やコンセプトに新しさがあるわけでもなく、低価格を売りにしているわけでもない。ノートの販売を牽引したのは、先に述べたようにシリーズ型ハイブリッド方式「e-POWER」だ。
ノートに「e-POWER」搭載車が追加された2016年11月以降の累計販売で、ユーザーの約7割がガソリン車よりも約20万円高い「e-POWER」車を選んだ。理由はJC08モード燃費で34km/リッターという燃費性能だけではなく、アクセルペダル操作で自在に加減速できる独特の運転感覚にある。
モーターで駆動する「e-POWER」は電気自動車(EV)のように太いトルクを利して鋭い加速力を特徴とする。逆にアクセルから足を離すとガソリンエンジン車よりも強く減速する。そのため、ブレーキを踏む機会が減る。ディーラーなどの試乗会で「e-POWER」を体験し、購入を検討する人が多いという。
日産「e-POWER」は、エンジン駆動とモーター駆動とを使い分ける、あるいはモーターがエンジンをアシストする、トヨタなどが推進する一般的なパラレル・スプリット型ハイブリッドとは異なる方式。前述したとおり、日産が開発した新しい技術に思えるが、そうではない。発表当初、ほかの自動車メーカーや評論家から「決して新しい技術ではない」と揶揄されることも多かった。が、結果的に消費者の支持を集めた。
日産は今年3月には、同社のミニバン「セレナ」にも「e-POWER」搭載車を導入して、上半期販売でミニバンのトップに立った。
日産では、2022年までに新たに「e-POWER」搭載車を5車種追加する予定。東南アジアにも展開する計画がある。(編集担当:吉田恒)