自衛隊明記へ「責任果たす決意」と安倍総理

2018年07月24日 06:13

 延長国会で政府・与党は参議院議員定数を「6増」し、比例代表に合区であぶれる候補を救済するための「特定枠」を設けた公職選挙法を成立させ、刑法との整合性がとれないまま、民間賭博を認めるカジノ法案(IR法案)を成立させた。

今国会では森友・加計問題で安倍総理と昭恵夫人を守るためとしか背景が理解できない財務省の決裁文書改ざん、偽造、虚偽答弁などにも野党の追及を乗り切り、経団連の要望通り、労働時間規制の対象から外れる労働者を生む「高度プロフェッショナル制度」の創設を実現するなど、安倍政権の強引さがひときわ目立った。

 9月には自民党総裁選挙が行われるが、自民党が党是としている憲法改正のために、安倍政権に不満を持つ議員も安倍総裁に追従しているようにみられ、衆参両院で憲法改正発議が可能な勢力を確保している来夏の参院選挙前まで(参院選挙実施後は改憲発議の議席が確保されるかどうかはわからない)に、発議までの環境づくりを目指すことになりそうだ。

 安倍晋三総理は20日の記者会見で「憲法に自衛隊をしっかりと明記し、その責任を果たしていく決意です」と記者団の問いに答えた。

 安倍総理は「昨年の総選挙で初めて選挙公約の柱の一つとして憲法改正を位置づけ、4項目の一つとして自衛隊の明記を具体的に掲げた。その上で、私たちは選挙に勝利をし、政権与党として今の立場にいる」と改憲は選挙公約だと強調した。

 また「憲法改正は衆議院、参議院、両院の3分の2を得て発議し、国民投票で過半数の賛成を得なければ実現できない。3分の2を得ることができるかどうか。国民投票で成立させることができるかどうか、地に足の着いた、現実にしっかり目を向けながら、結果を出していく、そういう姿勢も私たちには求められている」とも語った。

 自民党は昨年の総選挙で(1)自衛隊の明記(2)教育の無償化・充実強化(3)緊急事態対応(4)参議院の合区解消を改憲の柱に挙げた。

 ただ自衛隊を憲法違反の存在と考える国民はほとんどいないなか、あえて憲法に規定する必要があるのか、集団的自衛権行使の範囲拡大につながりかねないと疑問や懸念の声は強い。
 
 同時に、自衛隊明記以上に危険な条項として緊急事態条項の規定だ。行政府に立法府の機能まで持たせてしまうのは、あまりに権限が強すぎ、政府の暴走を止められない危険が高い。自衛隊以上に、この項目の規定については憲法審査会での議論とともに国民的議論が求められる。(編集担当:森高龍二)