8月3日は「はちみつの日」。1985(昭和60)年に日本養蜂はちみつ協会と全日本はちみつ協同組合が制定した記念日で、その由来は8(はち)3(みつ)の単純な語呂合わせだが、実は今年の夏のような猛暑にはタイムリーな話題なのだ。
蜂蜜はご存知の通り、ブドウ糖と果糖を主成分にビタミンやミネラル、必須アミノ酸、オリゴ糖など、様々な栄養素がバランスよく含まれている健康食だ。そのまま食べてもいいし、料理やお菓子作りに使ったり、幅広い用途で扱える万能食品なのだが、今、熱中症対策の一つとしても注目されている。
その理由は、蜂蜜に含まれる糖分だ。蜂蜜のブドウ糖と果糖は、それ以上分解する必要がないので、とくにスポーツの後や暑さで疲れた時に摂取すると短時間で身体に吸収されて、素早く疲労を回復してくれる。
熱中症対策には、こまめな水分補給と塩分補給、日中はできるだけ長時間の外出は控えたり、濡れタオルを首に巻いたりと様々な方法が知られている。しかし暑さで身体に疲れが蓄積されていると、どんな対策もその効果は半減してしまう。ところが、暑くて食欲が減退してしまうと栄養補給もままならない。蜂蜜はそんな時の栄養補給にも重宝する。
この栄養豊富な蜂蜜をつくっているのはミツバチだが、ミツバチがつくり出す健康に良い素材は蜂蜜だけではない。実は、ミツバチがつくり出す自然の恵みは9つもあるのだ。それは、ローヤルゼリー、プロポリス、蜂の子、ミツロウ、花粉荷、蜂毒、ポリネーション、はちみつ乳酸菌だ。
養蜂が盛んなヨーロッパでは古くから、これらミツバチの恵みは伝統的な健康法として、「アピセラピー」という言葉と共に一般的に利用している。ちなみにアピとはラテン語でミツバチの意味だ。中でも、養蜂大国といわれるルーマニアでは、1930年にミツバチ製品医療センター「アピテラピア」を設立し、ミツバチがつくり出す自然の恵みである。ミツバチ産品を食品や医薬品、化粧品などに利用する様々な科学的研究に積極的に取り組んでいる。
日本でいち早くアピセラピーの考え方を取り入れたのは、山田養蜂場だ。当時のローマ法王ピオ12世が健康のためにローヤルゼリーを使用したことが国際学会で発表されて、ローヤルゼリーが世界的なブームとなった頃からローヤルゼリーの研究を始め、今では自社にミツバチ産品の研究機関を設けて、先のアピテラピアとも連携するなど、日本でのアピセラピーを積極的に推し進める代表的な存在だ。
ミツバチは数千万年もの間、ほとんど姿を変えずに生き残ってきたといわれている。なぜ、ミツバチは昔のままでいられるのか。その秘密はもしかすると、彼らがつくり出す9つの恵みの栄養効果にあるのかもしれない。(編集担当:石井絢子)