自民党と安倍政権に最も必要な『4条件』

2018年08月12日 10:28

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憲法改正を安倍政権下で是が非でもという改憲推進保守系団体国会議員懇談会の自民党議員が多いようだ

 自民党の総裁選挙への立候補を10日に表明した石破茂元幹事長はツイッターに「私は正直で、公正、謙虚で、丁寧な政治をつくりたい」と、まさに安倍晋三総裁に対する国民批判の大きい部分を象徴する一文を書き込んだ。意図した書き込みでなく、石破氏の正直な気持ちを書き込んだものと思われる。

 国有地が8億円を超える大幅値引きで安倍総理の思想に近いとみられる籠池泰典氏が理事長を務めていた森友学園に売却されたこと、昭恵総理夫人がこの土地を籠池氏とともに訪ねたこと、昭恵夫人付き公務員がこの土地に絡み財務省に問い合わせをしていたことなどなど、関与の疑義は払拭されないままになっている。おまけに財務省はこの土地を巡る決裁文書を改ざん、理財局長は国会で虚偽答弁。にもかかわらず国税庁長官に就任させる人事まで行われた。

 一方、加計学園が運営する岡山理科大学への獣医学部新設については、閣議決定した獣医学部新設4条件をクリアしていたのか国家戦略特区での認定プロセスの不透明さは解消されないままだ。当初から「加計ありき」で動いた可能性が払拭できないままになっている。

 モリカケ問題への国会対応やカジノ法案、参院議員定数6増法案の成立過程、原発ゼロ基本法案など政府・与党に不都合な法案は審議さえしない姿勢などを見る限り、「正直さ、公平さ、謙虚さ、丁寧さ」は安倍政権には見られない。

 石破氏は「政治が国民に対して、誠実で、謙虚で、正直に、勇気をもって真実を語る、その姿勢が必要」と述べているのは、今日の自民党と政権に最も必要な『4条件』といわねばならない。

 憲法改正を安倍政権下で是が非でもという改憲推進保守系団体国会議員懇談会の自民党議員が多いようだが、石破氏は「今、急ぐべき憲法改正項目は、合区解消のための衆参両議院及び選挙のあり方の規定、人権を決して不当に侵害しないことを前提とした緊急事態規定、国民の権利に対応した政府の説明責任についての規定と考える」と憲法9条を最優先にする安倍総裁と一線を画した。また基本的人権を重視する姿勢も強くうかがわせた。

 さらに石破氏は「憲法9条(戦争の放棄規定)は国民の理解が前提であり、丁寧に時間をかけて合意形成に努めるとともに、憲法改正以前になすべき法整備等を先んじて進めるべきものと考える」として、拙速な対応をすることに国民の理解は得られないとの認識を示している。石破氏と安倍氏の総裁選挙における論戦から国民にはこれまで見えていなかった安倍総理の部分が見えてくるだろう。自民党が下野しない限り安倍政権は今後3年つづくことになるかもしれない。今回の総裁選挙、国民は大いに注目した方がいい。(編集担当:森高龍二)