総務省が行った労働力調査によれば、就業している65歳以上の高齢者は全体の24.5%にのぼり、実に高齢者の4人に1人が働いているという実態が明らかになった。年金生活になればのんびり余生を送るという時代は終わりを迎え、働ける間は働きたいという高齢者が多くなっている。
労働力調査によれば、2017年に就業していた高齢者は前年に比べて37万人増えて807万人に達した。統計が取られ始めた1992年には300万人をわずかに上回る程度であったため、わずか25年で2倍以上に増えたことになる。就業者全体に占める高齢者の割合も12.3%と過去最高を記録し、働く高齢者が増加していることを裏付けている。日本全体が深刻な人材不足に直面する中、高齢者の多くが就業することで日本経済に好影響を及ぼすことを期待する声もある。働く高齢者がこれからも増え続けていけば、公的年金控除の縮小がさらに容易になり、年金75歳支給も現実味を帯びてくる。これまでは支えてもらう側だった高齢者の中から、支える側に回ってくれる高齢者を増やしたいところだ。
しかし高齢者が働く理由を見てみると、そう簡単には事は運ばない。高齢者が働き続ける理由を尋ねた調査によれば、もっとも多かった回答は「現在の生活のため」で78.5%、次いで「老後の生活に備えて」が47.0%だった。つまり高齢者も現在、そして将来の生活に不安を覚えているから働いているわけだ。収入を得られる仕事を何歳までしたいかという質問に75歳まで、あるいは80歳までと答えた高齢者が2割程度おり、後期高齢者になっても働くことを希望していることがわかる。日本で働く高齢者の割合は主要国でトップであり、もっとも低いフランスと比較すると10倍程度の差をつけている。
高齢者の多くが就業すれば、人材不足や社会保障などの負担が軽減する可能性が高い。高齢者が社会に貢献し続けることは歓迎すべきだが、高齢者の給与や待遇面では冷遇されていることが多い。今後は企業も高齢者の積極雇用と待遇改善が求められていくだろう。(編集担当:久保田雄城)