日本の労働時間が長いことは半世紀も前から周知のことであった。しかし国連がこの点を問題視したため、現在政府主導の働き方改革が推し進められている。政府の統計を見ても確かに日本の労働時間は長い。これらの統計をよく見ると、教職員の労働時間が特に長く産業全体の労働時間を押し上げているのがわかる。確かに教職員は一般の労働者とは性格が異なるが、教育行政を運営していく上で、この長時間勤務の問題が様々な問題を生み出していることも事実だ。
この点に関して連合(日本労働組合総連合会)が公立学校の教員1000名を対象に、この9月に実施した「「教員の勤務時間に関するアンケート」の集計結果を18日に公表している。
集計結果によれば、公立学校に勤務する教員の1週間の学校内労働時間は、勤務日で平均52.5時間、週休日では平均3.2時間となっており勤務日で週40時間をはるかに超えており、土日勤務も決して少なくないようだ。
世代別にみると、20代で56.4時間、30代が54.9時間と若い世代でより長くなっている。校種別では小学校が52.6時間、中学校が56.5時間、高等学校では49.4時間となっており、中学校で平均より長くなっている。
「時間内に仕事が処理しきれない」と答えた者は82.8%で過剰な業務量が長時間労働の主要因であることがうかがえる。また、6割の者が「今年度になって管理職から早く退勤するように言われた」と回答しているものの「持ち帰り仕事が増え、総労働時間は変わらない」との回答は4割半ばに達し業務量の配分に問題がありそうだ。
こうした業務の繁閑を調整するために変形労働時間制の導入が提唱されているが、この制度が導入された場合「介護や子育て中の教員は困る」と答えた者が59.0%もおり、約6割の者がこの制度の導入には前向きではないようだ。
現在の制度では勤務時間外に行った授業準備・成績処理・調査報告物の作成などの業務は勤務扱いにされず「教員による自発的な行為」とされている。これを勤務扱いにする制度の見直しについては「賛成」が64.6%、「まあ賛成」が21.6%で、両者の合計は86.2%で大多数の教員がこれを望んでいると言える。教員にも残業代支給を行う制度の見直しについても「賛成」が64.1%、「まあ賛成」が22.2%で、合計86.3%が賛成と回答している。
この調査から教師の責任感からくる自発的業務が長時間労働の一因となっている一面もうかがえる。勤務実態に合った制度の見直しが必要だ。(編集担当:久保田雄城)