増加する生活保護世帯 高齢化との関連も

2018年11月16日 06:52

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2018年8月に生活保護を受けた世帯は13万8599世帯だったと厚生労働省が発表した。受給人数は減っているものの、ひとり暮らしの高齢者世帯が増えたことが受給世帯数増加の要因とされている。

 厚生労働省の発表によると2018年8月に生活保護を受けた世帯数は、前月に比べて854世帯増加し163万8599世帯となった。一方で生活保護を受けた人数は209万8594人。前月に比べて379人減少している。生活保護の受給人数全体については15年3月をピークに減少しつつある。世帯数で見た場合には数が増えているものの年代によって差があり、高齢者世帯以外の世帯に関しては減少傾向が見られている。

 全人口のうち生活保護を受けている年代は60歳以上が圧倒的に多い。15年に生活保護を受けた人のうち、20代から30代までは受給率が1%を下回っていた。年代が上がるにつれて受給率も高くなっていくが、現役世代である50代までは2%未満となっている。2%を超えるのは60歳以上の年代であり、65歳以上では2.89%であった。

 総務省が30年9月に公表した労働力調査によって、完全失業者は年々減少傾向にある事が分かっている。就業者数と雇用者数については69カ月連続で増えているため、現役世代の生活保護受給者数が減少していくのも当然と言えるだろう。受給者数が減っている一方で受給世帯数が増えていく要因となるのは、一人暮らしの高齢者世帯が増加しているためであると考えられる。

 高齢者がいる世帯は時代と共に多くなっている。内閣府が発表したデータによると、17年の世帯全体のうち65歳以上の人を含む世帯は48.4%であった。しかしそれに対して子供と同居する高齢者は年々減少しており、反対に一人暮らしをしている高齢者の人数は増加している。頼る家族がいない環境で生活をしている高齢者の割合が増えていく中、労働収入もなく十分な預金もなければ生きていくために生活保護を受給するしかないだろう。

 日本の高齢化率は現在27.7%であり、これは世界で最も高い水準である。今後ますます高齢化は加速していくと推測されているが、高齢者を支える子供世代は減少していく一方だ。景気が回復して労働人口が増えれば全体的な受給者数は減少していく。しかし仕事をリタイアした高齢者にとっては景気回復によって更なる負担を強いられるケースもある。もしも物価が上がったとすればそれだけ生活状況を悪化させてしまう事となるだろう。高齢者の貧困をこれ以上生まないためにも具体的な対応が求められている。(編集担当:久保田雄城)