土砂投入 政府は沖縄県民投票まで立ち止まれ

2018年12月16日 09:00

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政府はここで立ち止まり、その間、辺野古基地建設の必要性をあらゆる面から説明し、理解者を増やす努力を行うべきだろう

 辺野古沿岸部への土砂投入が14日始まった。「沖縄県民に寄り添う」とした安倍晋三総理。寄り添う姿勢がどこにあるのか。

日米間の約束履行に沖縄県民の犠牲止む無しの非情さを安倍総理に感じる。合法であれば政府方針通りに何でもしてよいという判断なのか、強権的行政には怖さも感じる。

 『抑止力を維持しながらの普天間基地返還実現』には、辺野古への代替基地建設のほかに選択肢がない、と仮に、それが事実であったとしても、沖縄県民の理解、協力を得られぬ「辺野古への土砂投入」は強行して実施することではない。

 日米間の約束であったにしろ、一旦、立ち止まり、基地建設の是非を問う来年2月の沖縄県民投票の結果が出るまで、建設に理解を示す県民数を増やす努力こそ続けることが大事だ。

 加えて、土砂投入は『元の海に戻せない』深刻な事態を既成事実として積み増していく行為だ。

 辺野古新基地建設反対を諦めさせるためか。沖縄県民の悲痛な声が聞こえそうで、心が痛む。本州に暮らす筆者としては申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は14日、記者団に応じ、土砂投入開始に「沖縄の民意を踏みにじり、土砂投入に至ったことに強い怒りを感じる。知事選の民意は明らかに基地建設反対だった。それにもかかわらず問答無用とばかりに暴挙に出たことに本当に怒りを禁じ得ない」とこの行為が暴挙と深刻に受け止めた。

 そして「安倍政権には沖縄への情もなく、法の支配や直近の民意に対する謙虚さのかけらもなく、民主国家に程遠い状況だ」とし「ただちに土砂投入を中止し、沖縄県との対話を再開するよう強く求めたい」と軌道修正を求めた。

 社会民主党は「辺野古の海への土砂投入は大浦湾の生物多様性に壊滅的な打撃をもたらす」と提起。「国は必要な環境保全対策を十分にとらず、サンゴ類の移植も行っていない」と政府の環境保全姿勢にも問題を投げたうえで「護岸設置場所の地盤も軟弱であることが明らかで、防災上非常に危険である」とも訴え、新基地建設に反対している。

 それでも岩屋毅防衛大臣は14日の記者会見で、改めて「抑止力を維持し普天間の危険を除去するには辺野古が唯一の解決策」と強調し「自然環境や住民の生活環境に十分に配慮した上で、工事を進めてきた。今後も留意し工事を進めていく」と協力を得られるよう取り組むとしながら、工事は着々進める考えを示した。

 普天間の危険除去のためには来年2月の県民投票実施までのわずか数か月も立ち止まれないのか。

 政府はここで立ち止まり、その間、辺野古基地建設の必要性をあらゆる面から説明し、理解者を増やす努力を行うべきだろう。結果は変わらなくても努力する過程こそ民主主義には必要だ。一旦、立ち止まれ。(編集担当:森高龍二)