「国是=専守防衛」の視点から国防議論を

2018年12月23日 13:45

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政府は防衛計画大綱と2019年度から5年間での「中期防衛力整備計画」を閣議決定した

 政府は防衛計画大綱と2019年度から5年間での「中期防衛力整備計画」を閣議決定した。中期防では南西諸島防衛に必要だとして海上自衛隊「いずも」護衛艦の空母化改修を盛り込み、空母化後は「いずも」護衛艦を基地として短距離離陸・垂直着陸できるF35Bステルス戦闘機を導入、必要に応じ「いずも」に搭載する。

 F35Bを搭載した空母化後のいずも護衛艦を起動すれば、洋上のどこにおいても『基地』として活用できる。

 これまで日米同盟の下、敵基地攻撃は米国に依存し、日本は敵基地攻撃能力を持たない名実ともに『専守防衛』に徹する国是を平和憲法下で守ってきた。

 しかし、空母化した「いずも」護衛艦とF35Bの搭載により米国とともに敵基地攻撃できる能力を保有する国となり、『専守防衛』を大きく変質させるものになる。

 いずも型護衛艦は2隻あり、1隻にF35Bは10機搭載できるという。米軍機の離着陸活用も政府は「あり得る」(岩屋毅防衛大臣)とする。安倍政権下で日米同盟は「血の軍事同盟」へ道をたどり続けている。

 安倍政権での憲法9条解釈改憲以降、その傾向に拍車がかかる。拡大を続ける防衛費という軍事費は中期防では5年間で27兆4700億円となり、GDP1%枠内としてきた従前の枠を守ることなく、政府は「必要な防衛のための費用の積み上げの結果」だと、GDP1%枠内ありきでなく、国民の反発を抑制し、理解や説得をしやすい論法にすり替えてきた。

 これまで平和憲法に基づく防衛費の在り方、専守防衛という国是の下で、歴代政府は日米防衛協力の在り方についても米国と協力関係を築き、一定の理解を得てきた。安倍政権は「ゆるぎない日米同盟」「日米関係」を急ぎすぎ、米国のアジア太平洋圏域での軍事戦略そのものに組み込まれて動いているのではないか。

 専守防衛の堅持、敵基地攻撃を可能にするいずも型護衛艦の空母化やF35Bステルス戦闘機の導入による「洋上基地」導入への対応など、次期通常国会で日本の防衛と防衛力の在り方、中期防衛力整備計画の課題、問題点を野党は国民に分かりやすいように浮き彫りにすべき。政府は野党の指摘に正面から説明責任を果たすべき。防衛費は政府の来年度予算案では5兆2574億円と過去最高を再び更新している。(編集担当:森高龍二)