ギャンブル依存症への認知を広げ、患者の数を減らすために審議されてきたギャンブル依存症対策基本法案が6日、参議院本会議で可決・成立した。日本は成人に占めるギャンブル依存症が疑われる人の割合が約36パーセント、人数にして約320万人いると言われる。ギャンブル依存症対策基本法の成立は、ギャンブル大国日本の現状を変えるものとなるだろうか。
ギャンブル依存症はギャンブルが好きというレベルの症状ではない。ギャンブル依存症になるとギャンブルをやめることができず、様々な問題を引き起こすことになる。さらに常にイライラしている、ギャンブルのために借金をしてその借金をギャンブルで返済しようとする、家族や友人に嘘をついてギャンブルをするといった深刻な状況に陥ることも珍しくはない。ギャンブル依存症はアルコール依存症などと同様に適切な診断と治療が不可欠だ。投薬治療やカウンセリングなどを受けて、自分の症状を自覚しギャンブルから離れるような援助が必要となる。特に入院して治療を行った場合、またギャンブルに手を出さないようにするため退院後のケアも重要になる。ギャンブル依存症対策基本法の成立によって、ギャンブル依存症患者の治療やその後のケアにさらにスポットが当たることが望まれるだろう。
ギャンブル依存症対策基本法の成立に対して、懸念されているのが統合型リゾート(IR)実施法案だ。カジノ解禁が大きな目玉となる法案で、IRによって逆にギャンブル依存症患者が増えると指摘する有識者も少なくない。ギャンブル依存症対策法の成立は統合型リゾート(IR)実施法案の審議を加速させるためのものにすぎないという声も上がる中、今後はIRの開発とギャンブル依存症対策の両方をどうバランスよく進めていくかについての検討が必要となるだろう。法律が成立しただけで内容が伴わないのであれば、ギャンブル依存症患者の増加は避けられないのではないか。(編集担当:久保田雄城)