徴用工問題、日韓関係へ悪影響に懸念深まる

2019年02月18日 07:00

 日本が植民地にしていた時代に朝鮮半島から本土へ動員し強制労働させた「徴用工問題」(政府は旧朝鮮半島出身労働者問題と呼んでいる)で、当時の被害者の遺族らが日本企業に対し損害賠償を求めている問題が新たな段階に入り、日韓関係への悪影響が懸念される。

 日本が5億ドルの経済支援をすることで両国間の政府・国民にかかる請求権に関する問題は完全かつ最終的に解決されたことを確認するとした「日韓請求権協定」(1965年締結)を踏まえても、被害者個人の損害賠償請求権までを消滅させるものではないとの立場で起こされた裁判に韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に賠償を命じたことから、15日、原告弁護側が新日鉄住金の東京本社を訪れた。ただ面会に応じなかったため差し押さえしている韓国内資産の売却命令を裁判所に申請する手続きに入るとしている。

 聯合ニュースは原告側のイム・ジェソン弁護士が「韓国に戻ったら速やかに関連の手続きを踏むとしながらも『株式売却には3カ月ほどかかる』とし、この期間が『新日鉄住金が謝罪し、協議に応じることのできる最後の期間だと思う』と述べた」と報じた。

 また不二越についてもイム弁護士は「約7億ウォン(約6800万円)の韓国内資産が見つかったとし『不二越に協議の意思がないことを確認した。できるだけ早い時期に仮執行手続きに入る』との意向を示した」と報じた。

 徴用工問題をめぐっては三菱重工業に対しても徴用被害者と勤労挺身隊被害者への賠償を命じる韓国大法院判決が出ており、聯合ニュースは原告側が「今月中に誠意ある回答がなければ強制執行を取る用意がある、としている」ことを伝えている。

 徴用工問題では15日、ミュンヘンで日韓外相会談でも俎上に載ったが、外務省は「河野太郎外務大臣が原告の一部による日本企業の資産差押えに向けた動きについての懸念を伝えるとともに韓国側による適切な対応を改めて求めた。また日韓請求権協定に基づく協議に応じるよう求めた」とHPに掲載したのみで、この問題での進展はなかった。

 聯合ニュースは「康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は韓日請求権協定に基づく政府間協議を河野氏が改めて求めたとし『われわれは引き続き検討していると話した』と伝えた」と短く報じた。(編集担当:森高龍二)