人手不足の中、多くの企業で働き方改革が推し進められている。生産年齢人口の減少の中で十分な人材を獲得するためには女性、高齢者、障がい者、外国人などのマイノリティーの事情に配慮した快適な職場を作ることが必要だ。
働き方改革が進むにつれて女性、高齢者、そして障がい者の就労は確実に増加している。その中で障がい者就労に関し様々なトラブルが生じていることも報道されている。それでは障がい者達は就労現場においてどのような配慮を望んでいるのであろうか。
障がい者雇用支援コンサルティングのスタートラインが自社サイト登録の障がい者274名を対象に、1月から2月にかけて「就職・転職活動の意識」に関するアンケート調査を実施、先月末にその集計結果を公表している。
「就職・転職を考えたきっかけ」については「障がい配慮への不安」が17.6%で最も多く、次いで「体調の悪化」が15.7%となっている。回答者の障害の種類を見ると「精神・発達障害」が87.2%と圧倒的多数を占め、「身体障害」9.1%、「知的障害」3.6%となっている。「体調の変化」が上位になったのは本来疾患概念である「精神・発達障害」が多数を占めているからかも知れない。
「就職・転職を考えるにあたり重視するポイント」については、「仕事内容」が13.4%、「障がい配慮がある」13.3%、「勤務地」12.2%、「労働時間・休日数」12.0%の4つが1割以上となっている。
自由記述欄を読むと「通院日に休みをもらいたい」(40代、精神・発達障害)、「福祉ではなく一般企業に勤めたいと思った」(30代、精神・発達障がい)などこれまで障がいを隠して就労していたり福祉事業所で就労していたが通院や就労時間等に配慮があれば一般と同じように就労可能だという意欲がうかがわれる。
「希望する障がい者配慮」については、「通院への配慮」が19.3%、「就業時間や日数、休憩時間などの配慮」18.9%などとなっている。自由記述欄をみると「聴覚過敏のため、できれば静かな場所での就労など職場環境の配慮」(30代、精神・発達障がい)。「メモの内容や指示されたことの解釈が間違っていないかどうかのこまめな確認ができる」(30代、精神・発達障がい)など一般の者が気付きにくい細かな配慮が必要なようだ。
この他「障がいに関わる各種手続きに必要な休暇が取得できる」(40代、精神・発達障がい)など一般の者にも共通するワークライフバランスに関するものもある。マイノリティー固有の事情を互いに配慮するという姿勢が大切なようだ。(編集担当:久保田雄城)