10月の消費税増税は既に諮問会議が明記、内閣がこれを閣議決定しており延期等の可能性はなくなった。世論では景気動向や各業界への影響についての議論が活発化している。
帝国データバンクが約2.3万社を対象に消費税率引き上げに対する企業の意識調査を6月下旬に実施し、11日その結果を公表している。レポートによれば、「予定どおり実施すべき」と回答した企業は44.1%で多数派だ。しかし、「実施するべきでない」が23.6%と2番目に多く、「時期を延期すべき」が13.3%、「税率を引き下げるべき」7.4%で、これらを合計すると44.3%、肯定派と拮抗する結果となっている。産業界でも消費税増税は意見が二極化しているようだ。
肯定派での理由は「既にシステム等の改修が終わっており予定変更はむしろ損害を大きくする」「社会保障制度維持のため仕方が無い」などの意見が目立つ。否定派では「消費の回復が十分でない」「景気の先行きが不透明になっている」「軽減税率が混乱を招く」などの意見が目立つ。
消費税率変更に伴う影響の見通しについては、「マイナスの影響がある」が50.8%と半数を超え圧倒的に多く、「影響はない」が30.3%、「分からない」が17.7%で「プラスの影響がある」はわずか1.2%のみだ。「マイナスの影響がある」と回答した企業の業種を見ると、やはり「小売」が78.4%と8割近くと断トツで多く、次いで「農林水産」59.3%、「不動産」54.2%、「卸売」53.5%、「金融」50.9%が50%を超えている。
従業員規模別に悪影響を見ると、「5人以下」が53.1%、「6~20人」が53.2%、「21~50人」50.5%、「51~100人」48.8%、「101~300人」48.5%、「301~1000人」47.1%、「1000人以上」45.2%と従業員規模が小さくなるに従って「悪影響が大きい」と見込んでおり、特に零細企業では50%を超えている。
「駆け込み需要」については、「ある」が7.4%、「現在はないが今後出てくる」が30.5%で両者を合計すると30.5%だ。一方「(現在も今後も)駆け込み需要はない」が48.2%と約半数で「駆け込み需要なし」を見込んでいる企業が大半のようだ。今回は増税のアナウンス期間が長く、年金問題や景気低迷が見込まれており駆け込み需要への期待は薄い。
軽減税率への対応は、「実施している」は40.4%(うち対応済みはわずか4.7%)のみで49.3%と約半数が「特に対応していない」と回答しており軽減税率で混乱も予想される。(編集担当:久保田雄城)