菅直人元総理は20日、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人(勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長)が、いずれも東京地裁で無罪判決を受けたことに「判決では『建屋の浸水防止対策』や『非常用電源の高台設置』などの対策に『着手したとしても、事故前に完了したか明らかでない』と指摘している。しかし、津波予測のあった時に着手していたならば情状酌量の余地があるかもしれないが、全く対策を講じなかった東電幹部の責任は明らか」と明確に東電幹部に責任があると問題提起した。
東京地方裁判所の永渕健一裁判長は「当時の法令上の規制や国の審査は絶対的な安全性の確保までを前提としておらず、3人が東京電力の取締役という責任を伴う立場にあったからといって刑事責任を負うことにはならない」などと深刻な被害を今ももたらしているにも関わらず責任を問わなかった。
原子力を運用する以上「絶対的な安全性の確保」を前提として、あらゆる手立ての対応をしておかなければならない。適切な対応をするべき責任と権限を有しながら、責任を果たさなかった幹部に刑事責任を問わないとすれば経営陣に真の緊張感は生まれない。ケースによって自ら刑事責任を問われるからこそ利益優先より安全性優先の指示が出せる。
菅元総理は「事故発生直後、東電から電源車を送る支援を要請されたことを思い出す。事故対策に当たった免振重要棟は高さ30メートルの場所にあり、その近くに電源を設置していれば過酷事故にはならなかったはずだ」と東電の安全確保への対応不足を問題にした。(編集担当:森高龍二)