トヨタグループの大型商用車トラック&バスメーカーである日野自動車の子会社、NEXT Logistics JapanとアサヒグループホールHD、江崎グリコ、千代田運輸、トランコム、ユーネットランスは、荷主企業・運送事業者・求貨求車サービス企業・車両メーカーといった物流に関わる各企業の知見や技術を結集し、深刻化する物流の課題解決に向けて新たな幹線輸送スキームを事業化すると発表した。各社はNLJへ総額約1億円を出資し、12月9日より本スキームを運用開始する。
NLJは2018年6月の設立以降、物流にまつわる社会課題の解決を目指し、実証実験を進めてきた。高齢化や個別配送ニーズの高まり等の環境変化により、運送事業におけるドライバー不足、積載率の低下は著しく、幹線輸送で顕著な傾向として表れている。そこで、物流への危機意識を同じように抱える企業とともに、現在物流において特に大きなボトルネックとなっている東名阪間の幹線輸送の効率化・省人化を目指し、新たな輸送スキームの運用を開始するという。
具体的には、国内東西2カ所にクロスドックを設け、荷主各社の荷物を集約。荷物と車両の情報から算出した最適パターンで混載するとともに、空きスペースへの積荷マッチングを行ない、積載効率の最大化を図る。
大きさ・重量・輸送頻度といった特性の異なる荷物を混載することにより、車両の積載可能重量・容積を最大限に活用でき、需要時期の違いによる年間を通じた積載率の平準化も可能とすることを目指す。
車両は、積載効率を高めた専用開発の全長25m級ダブル連結トラックを用いることで、ドライバーひとりで大型トラック2台分の荷物を輸送し、物流の省人化に取り組む。
また、安心・安全で持続可能な輸送を実現するため、ドライバー・車両・荷物の三位一体の情報活用に向けて、日野のICTサービス「HINO CONNECT」で得られるデータの活用に加え、各種センサーによる荷室内の視える化や、ドライバーの体調管理に寄与する睡眠改善プログラムも取り入れるという。
加えて、ドライバーの働き方改革に向けて、輸送・荷役作業の分離や長時間労働の抑制などに取り組むとしている。
今後、この運用実績を通じてノウハウを蓄積するとともに、参画企業の輪を拡げ、幹線輸送スキームを進化させていく計画だ。将来的に、あらゆる荷主企業・運送事業者が利用できる物流の仕組みの確立を目指す。(編集担当:吉田恒)