ついに動き始めた「レベル3」。安全を守るための「音声出力システム」も進化

2020年05月31日 10:36

画・2018年の自動運転機能搭載車は24%増。レベル2主流で成長加速の見込み。

4月1日に「道路交通法」と「道路運送車両法」が改正され、ついに公道上でレベル3の自動運転が解禁になった

新型コロナ関連ニュースの陰にすっかり隠れてしまっていたが、自動車産業では今後の行く末を左右する大きな出来事があった。4月1日に「道路交通法」と「道路運送車両法」が改正され、ついに公道上でレベル3の自動運転が解禁になったのだ。

 昨今のニュースなどで目にすることが多いため、既にご存知の方も多いかもしれないが、自動運転は、搭載される技術によって0~5にレベル分けされている。レベル0はドライバーがすべての動作を行う状態で、レベル5が、場所などの制限なくほぼ全ての条件で自動運転が可能となる状態を表している。すでに実用化されているレベル2は、あくまで運転支援。完全自動運転化に向けての重要なステップではあるものの、運転のサポート的な位置づけのものであり、ドライバーは常にステアリングを握りしめ、これまで同様、運転に集中する必要があった。しかしレベル3になると、一気に「自動運転」のムードが高まる。レベル3の車では条件付きではあるものの、ドライバーがシステムや周辺状況を監視する義務から開放されるからだ。つまり、運転席に座る義務はあるが、緊急事態を除き、ステアリングから手を放すことが許される。極端に言えば、運転中にスマホを操作したり、カーナビやテレビを楽しむことも可能だ。

 日本の自動車メーカーもすでにレベル3搭載車の市場投入に向けて動き出している。例えば、自家用車から商用車まで、レベル2の技術を積極的に実装しているホンダは、新型コロナ禍の渦中に行われた2020年3月期決算でも、レベル3実装車の年内発売を表明しているし、トヨタも2015年頃から、レクサスをベースした自動運転実験車「Highway Teammate」などの公道での試験運転を繰り返しており、早期に投入してくると予測されている。今年の後半から来年にかけて、自動車の概念そのものが大きく変わることになりそうだ。

 とはいえ、忘れてはいけないのがレベル3の自動運転技術下においては、まだ運転責任はドライバーにあるということだ。万が一にも事故が起こってしまった場合には、ドライバーが全責任を負うことになる。制度上、ステアリングから手を放すことは認められても、気を緩めてい良いということではないのだ。むしろ、咄嗟の状況にも瞬時に判断し、事故を未然に防止できるよう、人も車も今まで以上に、そして今までとは違った注意も必要になってくるだろう。

 そこで、自動運転化の安全を確保するための重要な技術の一つとなってくるのが、効果音や音声を使って、ドライバーや歩行者に警告や通知を行う、音声出力システムだ。レベル2までのADAS(先進運転支援システム)でも、もちろん重要なシステムではあったが、レベル3以降の自動運転車にとっては、ドライバーや歩行者の、まさに命綱ともいえる役割が増してくる。警告や通知が必要なときに、遅れたり、音声が発せられなかったりしたらと考えると恐ろしい。

 しかし、それについても課題は解消されつつある。今週、ロームが車載音声出力システムの品質を飛躍的向上させる画期的な車載音声合成LSIの開発を発表したのだ。現在主流となっているマイコンとアンプ、スピーカーによる構成の音声出力システムでは、部品点数が多くなることに加えて、音声が発せられなかった時のリスク回避の対策などに多大な工数がかかっていた。一方、今回発表された車載音声合成LSI「ML2253xシリーズ」は、音声発生時に異常を検知した場合、それをマイコンへフィードバックするほか、システム側では確認できない音声再生の不具合も検知できる。また、新製品は、高音質の音声デコーダ、各種高性能フィルタ、通信インターフェース、メモリ、アンプなど、音声再生に必要な部品を内蔵することで、音声出力システムを簡単に構築できるという。設計が楽になることで、世界的な市場においても導入が進むことが期待できそうだ。

 世間は未だ、新型コロナ感染の影響を受けて混とんとしているが、そんな中でも、日本の技術者たちは黙々と未来に向けて動き続けている。緊急事態宣言も解除された今、日本の基幹産業である自動車産業に明るい光が射すことを期待したい。(編集担当:藤原伊織)