東京商工リサーチの調査によれば、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が発令された4月の倒産件数は743件で前年同月比15.2%と二桁の増加となっている。このうち新型コロナ関連倒産は71件で倒産全体の1割を占めるまで急増している。
倒産に弁護士一任・準備中を含めた経営破綻の件数は2月に2件、3月に23件であったものが4月には84件と急増しているが、5月は83件と落ち着きを見せたようだ。しかし、6月に入り3日には12件発生と急増するなど再び加速し始めている兆候も見られる。
3日に帝国データバンクが「TDB景気動向調査(全国)2020年5月調査」の結果を公表しているが、概況としては「5月の景気DIは前月比0.6ポイント減の25.2となり8カ月連続で悪化した。国内景気は、急激な収縮には歯止めがかかったものの、生産活動の減退が続いた。今後は、国内外の懸念材料がみられるなか、後退傾向が一時的に下げ止まるとみられる」としている。
DIの推移を見ると、1月は41.9、2月が38.7、3月32.5、4月25.8、5月は25.2となっており、3月、4月の落ち込みが大きくなっているが5月には急激な下降にはブレーキがかかったようで下げ止まり感がみられる。
今後の見込みについては、売上げの激減を受けて企業業績も悪化しており、これにともなう雇用・所得環境の悪化、そこから派生する消費マインドの低迷が懸念材料であるとともに世界経済の大幅な落ち込みも予測され、回復には1年以上の時間が必要と予測されている。予測では6月のDIは27.5、7月が28.6と改善傾向を示すとされているが、半年後の11月は24.9、1年後の21年5月でも未だ32.0と本年3月の水準までにも達しない予測だ。
業界別にはバラツキが見られるが、10業界中「製造」、「卸売」など5業界で悪化、「不動産」、「サービス」など5業界で改善となっている。「製造」は調査開始以降で初となる13カ月連続の悪化を記録、業種別では「広告関連」など51業種中7業種が過去最低となっている。
地域別に見ると、全国10地域中、北陸を除く9地域で悪化、外出自粛や休業要請などによるヒトやモノの移動の大幅縮小が地域経済に大きな打撃を与えた。企業規模別では大企業、中小企業、小規模企業の全てで8カ月連続の悪化となっている。
景気の下げ止まり感はあるものの消費者マインドは未だ自粛ムードであり十分な回復には相当長い期間が必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)