菅総理の法律違反決定的、法解釈や拒否の理由で

2020年11月11日 06:10

 自民党の下村博文政調会長が北海道での講演で日本学術会議の会員推薦に基づく総理の任命権について「推薦された人を毎回そのまま任命していたら、任命権はないのと同じだ。取捨選択するのが本当の任命権であり、あるべき改革を求めていくための選択だ」などと語ったことがマスコミなどで報じられている。

 しかし、総理の任命権は日本学術会議会員の選出方法が「選挙制」から「推薦制」に替えられた1983年の日本学術会議法改正の際、当時の中曽根康弘総理が国会答弁でまさに「総理の任命は形式的なもの」と明言し、政治介入の余地がないよう、独立性を保つこと、学問の自由を侵害しないことを表明しており、実質的に「任命権はないのと同じ」。そうでなければ問題なのだ。

 立憲民主党の枝野幸男代表は「勝手に開き直って、政府の法解釈がかえられるというのは『法治国家』ではない。学問の自由以前に、許されない」と政府姿勢を強く非難している。

 日本共産党の志位和夫委員長は「推薦に基づいて総理が任命する」(日本学術会議法7条)は憲法6条の「天皇は国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命する」の基づくと同じ。裁量の余地はないと指摘した。

 下村氏は第2次安倍内閣で文部科学大臣を務め、全国86の国立大学学長に自主的判断に委ねるとしながらも入学式や卒業式に君が代を斉唱するよう要請したことでも知られ、国立大学に対し人文・科学系の見直しを求めた人物でもあるが「推薦された人を毎回そのまま任命していたら任命権はないのと同じだ」などと勝手な解釈が行われれば、法的安定性が棄損されるばかりか、天皇も総理の任命に取捨選択し、場合によっては拒否することができるというような、とんでもない解釈になる。

 加えて、杉田和博副長官が菅総理に対し、6人が扇動的・中心的に、これからも政府の法案に反対していく可能性が高いなどとし、会員任命を見送るよう提案し、菅総理が了承した旨の報道があることを受け、志位氏は「事実ならば、首相のこれまでの答弁はすべてウソだったことになる。そして法律違反がいよいよ決定的になる。また、政府のあれこれの方針への批判をもって『反政府』と括るのはよくないと思う」とツイッターで発信した。改めて衆参での予算委員会集中審議が必要だ。(編集担当:森高龍二)