杉田氏と内閣府やり取り存在も人事盾に開示拒否

2020年11月08日 07:31

 菅義偉総理は日本学術会議申請の会員推薦6人を拒否した経緯を、客観的資料を示して、国民に明らかにする考えはないようだ。安保法制や共謀罪、特定秘密保護法に関して学術的立場から反対した6人を政府が恣意的に排除した疑義の生じている案件だけに、このままの逃げ切りは許されない。

 「恣意的排除ではない」(菅総理)との自らの主張を裏付けることをしない限り、菅政権への国民の信頼はないだろう。

 立憲民主党の蓮舫参院議員は5日の参院予算委員会で、6人拒否理由に菅総理の答弁が矛盾し、整合性がとれないことから、日本学術会議から推薦名簿の出された8月31日から起案される9月24日までの過程の公文書を提出するよう求めた。

 加藤勝信官房長官は「杉田和博副長官と内閣府でのやり取りを行った記録は担当の内閣府で管理していると承知している」と記録が存在することを認めた。そのうえで「人事に関する記録であり、今後の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼす恐れがある」などと人事案件を盾に「(開示を)差し控える」と拒否した。

 蓮舫議員は「人事の機微な部分は黒塗りで結構。出してください」と求めるとともに、菅総理に出すよう指示を求めたが、菅総理は「加藤官房長官が申し上げた通りです」と逃げた。

 任命拒否理由が明確になることを怖れた結果としか映らない状況だ。蓮舫議員はツイッターで「何もしない、という菅総理の姿勢が明らかになりました」と批判。

 そのうえで「公文書の大切さを(安倍内閣時代の7年8か月)官房長官として痛感しておられるだけに、情報公開してもらえると質問しましたが、答えない。積極的姿勢はありませんでした。『今後の公正中立な人事に影響』と加藤官房長官は答弁しましたが、今の人事が問われているのです」と政府の姿勢を強く問題視した。(編集担当:森高龍二)