1億5千万円に二階氏も甘利氏も関与を完全否定

2021年05月20日 06:51

 2019年夏の参院選挙で広島選挙区の河井案里自民公認候補を当時「実質担当していた」とされる自民党の甘利明税制調査会長(当時・選対委員長)が18日、党本部から河井陣営に提供された1億5000万円に関して「1ミクロンも関わっていない。党から給付された事実を知らない」と記者団に語り、1億5000万円は蚊帳の外にあったことを強調した格好。

 二階俊博幹事長も17日の記者会見で1億5000万円に関して「私は関与していない」と言い、18日にも関与を否定。「個別の選挙区の選挙戦略や支援の方針はそれぞれの担当が行っている」としている。林幹雄幹事長代理は17日「実質的には当時の選対委員長がこの広島に関しては担当していた」と甘利氏が担当者としていた。

 「1ミクロンも関わらず」とする甘利氏の関与への完全否定を報じた産経新聞の報道に前田恒彦元特捜部主任検事は「河井陣営による買収金の原資ではないかというのが疑惑の発端。まずは振り込みをした自民党本部の事務担当者から『誰の指示か?』と聞くことから始め、そこで名前が出た人物から同じく『誰の指示か?』と聞き…といった感じで数珠つなぎに突き上げていくことで、自ずと首謀者にたどり着くはず」とツイッターに書き込んだ。

 そのうえで「検察はこんな簡単な捜査すらしていませんし、党本部への捜索も見送っています。林眞琴検事総長は昨年7月の就任時の会見で『厳正公平・不偏不党を旨とすべき』と述べましたが、結局のところ何らかの政治的配慮が働いているのではないでしょうか」と検察の対応にも疑問を投げている。

 いずれにせよ、1億5000万円のうち、1億2000万円は税金が原資の政党交付金であることから、幹事長も選対委員長も知らないというのであれば、最終説明責任は当時の総理総裁だった安倍晋三衆院議員にあり、「党総裁の説明が必要」になる。

 ネット上では「溝手氏に対抗馬を立てる動機の持ち主は?案里氏の応援に、自らの秘書を派遣までしたのは誰?1億5000万は4回に渡って振り込まれているが、(案里氏の夫)河井克之氏がその直前に4回面談したのは誰?状況証拠はただ一人の人間を示唆している」との書き込みも。いずれにしても買収事件の原資に使われたことがなかったのか、自民党には国民に対して明らかにする責任がある。(編集担当:森高龍二)