電気料金や身の回り品、飲食料品から外食まで値上げが相次いでいる。特に飲食料品ではメーカー各社の値上げ発表が毎日のように行われており、値上げラッシュに歯止めがかからない状態だ。既に夏・秋以降の値上げを発表しているメーカーも出てきており値上げラッシュの出口は見えない。背景にはコロナ禍からの需給調整、世界供給網の混乱などによるエネルギー、穀物価格の高騰に加え、ウクライナ侵攻、さらに急速な円安による輸入原価高騰がある。世界的な需給ミスマッチが早期に終結するのか否か見通せない状況で値上げラッシュは長期化しそうだ。
5月23日に帝国データバンクが「食品主要105社、価格改定動向調査(5月)」を公表しているが、これによれば、輸入小麦・油脂の急騰に急激な円安も加わり、今年は「値上げの夏」となりそうだ。7月までに3千品目が追加値上げ 今年中に8千品目超えの値上げが実施される予定だ。欧米を中心に経済活動が再開された昨年から輸入原価高騰は生じており、これまでは、内容量を減らして価格を据え置く「ステレス値上げ」や小幅な値上げを数回行うことで原価上昇を吸収してきたが、3月以降の急速な円安で企業努力だけでは原価高騰を吸収できず大幅な値上げに踏み切るケースが増加している。
食品主要メーカー105社の2022年以降の価格改定計画を調査した結果、5月19日までで8385品目の値上げ計画が判明、4月14日以降の1カ月のみで約2000品目が値上げとなっている。中でも7月は1500品目を超え、単月としては今年最も値上げ品目数が多くなる予定で、6、7,8月合計で3615品目となり、今年の夏は「値上げの夏」となりそうだ。1月から5月までの「既に値上げ済み」は4770品目、2022年の累計では8385品目が値上げとなり、値上げ率の平均は12%と2桁台となっている。
分野別に見ると、加工食品の3609品目が全体の43%を締め最も多く、値上げ率平均は13%だ。次いで調味料が1702品目、構成比20%、値上げ率平均10%、酒類・飲料が1188品目、構成比14%、値上げ率15%と続く。ほとんどの分野で小麦価格高騰が影響しており、ウクライナ侵攻の影響は小さくないと考えられる。これらは5月19日までに判明したもののみで、今後も値上げに踏み切るケースは増えるとみられ、飲食料品の価格高騰は中長期的に続くと見込まれている。(編集担当:久保田雄城)