防止法で「パワハラは減らない」6割。理由は「加害者にパワハラの自覚がない」5割超

2022年08月07日 09:33

画・防止法で「パワハラは減らない」6割。理由は「加害者にパワハラの自覚がない」5割超。

ビッグローブが「ハラスメントに関する調査」。「パワハラ防止法により日本のパワハラは減る」は41.4%。「思わない」は58.6%で、その理由は「加害者がパワハラだと自覚しないから」が53.1%で最多。

 2019年5月に改正労働施策総合推進法が成立した。法改正により企業にはパワーハラスメントを防止する必要な措置を講じることが義務付けられることになり、この法律は通称でパワハラ防止法と呼ばれている。改正法の施行は大企業が20年6月からで、中小企業では今年4月から施行となった。

 中小企業へのパワハラ防止法の適用が始まって3カ月が経過した6月下旬、BIGLOBEが全国の18歳~50代までの勤労者546名を対象に「ハラスメントに関する調査」を実施、8月1日にその集計レポートを公表している。これによれば、「パワハラ防止法によりパワハラは減ると思うか」と尋ねた結果では、「思う」と答えた者の割合は9.3%、「どちらかというと思う」が32.1%、両者を合わせると41.4%が防止法にパワハラ防止効果があると考えているようだ。一方、「思わない」は25.3%、「どちらかというと思わない」が33.3%で、両者の合計は58.6%と6割近くになっている。防止法に防止効果「あり」約4割より「なし」約6割の方が多いという結果となった。

 「減ると思う」と答えた約4割に、その理由を聞いた結果では、「罰則があるから」が50.4%で最多、次いで「周りの目が厳しくなるから」46.9%、「社内の対策や体制が整備されるから」33.2%と続いている。一方、「減らない」と答えた約6割にその理由を聞いた結果では、「加害者がパワハラだと自覚しないから」が52.8%で最多となった。次いで「被害者が言い出しづらいから」36.6%、「罰則が甘いから」27.5%と続いている。

 この他、「ハラスメントだと思う行為」について聞いた結果では、「性的な噂話を広げる発言」が71.4%で最多となっており、次いで「異性に対する差別的な言葉」68.7%、「外見や身体的特徴への発言」66.7%、「飲み会の場で一気飲みを勧める」66.1%などと続いている。一方、「ハラスメントだと思わない」行為としては、「妊娠した女性に対し、体を心配する発言」34.2%、「ちゃん付け・くん付け」32.6%、「歓迎会などの会社の飲み会に誘う」27.1%などとなっている。防止法によるパワハラ予防の直接的な効果への期待はあまり高くないものの、ハラスメント予防に対する意識向上への期待はある程度感じられる結果となっている。(編集担当:久保田雄城)