今回のニュースのポイント
野村総合研究所は、新設住宅着工戸数が2040年度に61万戸まで減少する一方、広義のリフォーム市場規模は9.2兆円へ拡大すると予測しました。人口減少や住宅価格の上昇に加え、金利環境の変化を背景に、日本の住宅市場は新築供給を中心とした従来の「フロー型経済」から、既存住宅を活用・改修する「ストック型経済」へと移行する局面を迎えています。
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野村総合研究所が公表した最新の予測レポートによると、日本の住宅市場における需給構造は、今後四半世紀にわたって大きな構造転換が進む姿が示されました。国内の新設住宅着工戸数は、2030年度には80万戸、2040年度には61万戸へと減少する見込みです。2025年度の推計値から約18%の縮小となる計算であり、利用関係別に見ても2040年度には持家が14万戸、分譲住宅が18万戸、貸家が29万戸と、すべての区分において縮小が前提となっています。
かつてのような「新築を建てれば市場が伸びる」という数量拡大の時代は終焉を迎え、限られた新築物件をいかに高性能化・高付加価値化させるかという「質」の競争が今後の主戦場になる構図が鮮明です。
新築市場が縮小をたどる一方で、明確な成長軌道を描いているのが住宅のリフォーム市場です。関連する耐久消費財やインテリア商品の購入費を含む「広義のリフォーム市場規模」は、2024年の約8.3兆円から2040年には9.2兆円へと拡大する見通しが示されました。エアコンや家具などを除いた「狭義のリフォーム市場」もそれより約1.2兆円小さい規模で堅調に推移するとされ、住まい全体の改修や更新が巨大な経済領域を形成することになります。この結果は、ハウスメーカーや建設会社のビジネスモデルが、新規の供給を中心に据えた建設業から、省エネ改修や長寿命化、さらには「GX ZEH基準」への対応といった既存資産を長期的に維持管理する「ストック活用産業」へ軸足を移す必要性を強く促しています。
こうした市場の変化は、日本経済が「フロー経済」から「ストック経済」へ移行するマクロ的な構造転換を象徴しています。2025年度時点で国内の居住住宅ストック数は5,626万戸に達しており、新築による年間の供給量はストック全体のわずか1%程度を入れ替える規模にすぎません。政府は2050年までに住宅ストックの平均でZEH基準の省エネ性能を確保する高い目標を掲げていますが、その達成には新築住宅の高性能化に加え、既存住宅3,000万戸の省エネ改修と、2,025万戸の老朽住宅除却が必要だと試算されています。
高度経済成長期は「建てること」そのものが経済成長のエンジンでしたが、人口減少社会においては、今ある5,000万戸超の住宅資産の価値をいかに高めるかが新たな成長テーマとなります。
さらに、足元で定着しつつある「金利のある時代」の到来が、この住宅市場の構造変化を一段と加速させる要因となっています。住宅価格の高騰や金利上昇に対して家計の所得の伸びが追いつかない現状では、購入資金の実需が新築から中古住宅やリフォーム、あるいは良質な賃貸住宅へとシフトしやすくなるためです。金利負担を意識せざるを得ない金融環境の変化は、家計に対して「新築一択」という固定観念を崩し、既存のストックを賢く更新しながら活用する合理的な選択を後押しします。
2050年の環境目標を達成するために年間平均120万戸の省エネ改修が求められるなか、住宅市場の競争力は、これからどれだけ建てるかではなく、どれだけ既存ストックの価値を高められるかという運用の実力で測られる時代へと確実に移りつつあります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













