犬は皮膚、猫は腎臓 保険データが教える「種別で違う健康管理」

2026年06月20日 16:50

画・ペット市場。飼育者増加。健康管理、マナー・エチケット関連で需要拡大。

犬と猫、それぞれに異なる健康リスクがある一方、ペットを家族として長く健やかに暮らすため、日々の健康管理や早期受診への意識が高まりつつある。

今回のニュースのポイント

第一アイペット損害保険株式会社が発表した保険金請求実績に基づく犬・猫の傷病ランキングによると、総合第1位は犬が「皮膚炎」、猫が「下痢」となりました。一方で、年齢別に見ると犬は7歳以上で「腫瘍」、猫は7歳以上で「腎臓病」が最多となり、ライフステージによって健康リスクが大きく変化していることが分かります。ペットを家族として長く暮らす時代となり、健康管理のあり方も従来の「治療」から「予防・継続管理」へと重心が移りつつあります。

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 第一アイペット損害保険株式会社がまとめたサンプル調査によると、総合ランキング(通院・入院・手術)では犬と猫の身体的特徴や体質の違いが顕著に表れる結果となりました。犬の総合ランキングでは「皮膚炎」が昨年に続き第1位となり、第2位に「異物誤飲」、第3位に「腫瘍」が続いています。一方、猫の総合ランキングでは「下痢」が第1位となり、第2位に「腎臓病」、第3位に「腫瘍」がランクインしました。犬は外耳炎やかゆみといった皮膚トラブルが目立つ傾向にあるのに対し、猫は水分摂取量が少なくなりやすい特徴から膀胱炎や尿石症を含む泌尿器系疾患が多いなど、それぞれの種別特有の健康課題が明確に示されています。

 また、ペットの健康リスクは年齢の推移とともに大きく変化していきます。子犬や子猫の時期には、好奇心旺盛な性格に起因する「異物誤飲」や、免疫力・消化器が未発達なために起こる「下痢」「感染症」など、成長期に特有のトラブルや事故が上位を占めています。しかし、7歳以上のシニア期に入ると傾向は一変します。犬は「腫瘍」が第1位となり、さらに「心臓病」「歯周病」といった加齢に伴う慢性疾患が上位を独占します。猫でも「腎臓病」が第1位へと浮上し、「心臓病」や「腫瘍」など生涯にわたるサポートが必要な疾患が並びます。健康管理は「犬だから」「猫だから」という種別だけでなく、「年齢に合わせて変える」視点が重要になっています。

 経済的な観点から見ると、こうしたランキングの背景には、ペット医療が「病気を治療する医療」から「日々の健康を支える継続管理」へとシフトしている潮流があります。ランキング上位の項目を精査すると、皮膚炎、外耳炎、下痢、かゆみなど、初期段階の小さな異変で受診すれば重症化を防げる身近な傷病が多くを占めています。さらに、シニア期で急増する腎臓病や心臓病などの慢性疾患は、高額な手術によって一回で完治するものではなく、継続的な通院や投薬を通じた長期的な管理が求められます。ペット医療の役割は、突発的な大ケガや手術に備えるだけでなく、早期発見と継続的な予防によって日常の健康状態を維持することを重視する時代へと移りつつあります。

 こうした医療行動の変化をもたらしているのが、ペットの「家族化」の進展です。犬や猫を大切な家族の一員として迎えるライフスタイルが定着したことで、飼い主側には「少し元気がない」「食欲が落ちた」「体をかゆがっている」といった日常の微小な変化を鋭敏に察知し、早めに動物病院を受診する行動が一般化しました。その結果、保険金請求の中心も、かつてのような偶発的なケガによる入院・手術から、日常的な通院や慢性期の管理へと広がっています。健康寿命を延ばして一分一秒でも長く一緒に暮らしたいという飼い主の意識の変化が、ペット産業や医療サービスのごく自然なあり方を内側から変え始めています。

 犬は皮膚、猫は腎臓――。今回の保険金請求データから浮かび上がるのは、動物たちの体質の違いだけではありません。それは、ライフステージごとに異なる健康リスクをあらかじめ理解し、小さな体調変化にも適切な通院で寄り添いながら長く付き合っていくという、現代の新しいペットとの暮らし方そのものです。「病気になってから治す」のではなく、「健やかな毎日の質を保つ」ための予防・継続管理への意識は、家族化を前提としたペット経済圏における中長期的な成熟の姿を静かに映し出しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)