ユニット型金属回収装置「RARELOOP(レアループ)」の設置イメージ。半導体や電子デバイス工場で発生する廃液から有価金属を回収し、排水処理の高度化と資源循環の両立を目指す。(画像:パナソニック環境エンジニアリングリリースより)
今回のニュースのポイント
パナソニック環境エンジニアリングは、半導体や電子デバイス工場向けに、排水処理と資源回収を組み合わせた新事業を本格展開します。AIの普及を背景に世界各地で半導体工場の新設・増設が進む一方、製造工程で使用する薬液の増加や排水処理の高度化、産業廃棄物処理コストの上昇が新たな課題となっています。同社は薬液供給から排水処理、有価金属回収までを一体的に提供し、環境負荷の低減と資源循環の両立を目指します。
本文
水や空気、土壌などの浄化・再生事業を手掛けるパナソニック環境エンジニアリング(パナソニック HVAC & CCのグループ会社)は、半導体や電子デバイス工場向けに「排水処理・資源回収事業」を本格展開すると発表しました。半導体の生産工程で必要な薬液供給や基板めっきプロセスから、排水処理および金属回収までを一貫してカバーするソリューションを提供します。
新事業投入の背景には、世界的なAI需要の急増に伴う半導体工場の新設や拡張があります。製造ラインの増強が進む一方で、微細化や高度なパッケージング技術の採用に伴い、レジスト剥離液などの薬液使用量が急増しています。これにより、工場側では薬品が多種混在した難処理廃液の発生や、処理工程の複雑化に伴う産業廃棄物処理コストの高騰といった「見えない課題」が深刻化しています。
同社は、生産工程の「入口(薬液)」と「出口(排水処理・資源回収)」の両面から解決を図るアプローチを打ち出しています。入口では、長寿命で低温・高速処理が可能な独自のレジスト剥離液や、次世代半導体向けガラス基板への密着強度を高める銅めっき技術を提供します。出口では、独自の電気化学反応技術を用いた難処理廃液の凝集・分解装置や、パッケージ化された金属回収装置を組み合わせ、総合的に工場運営を支援します。
資源回収の中核を担うのが、2026年4月から発売を開始したユニット型金属回収装置「RARELOOP(レアループ)」です。従来、エッチング廃液からの有価金属分離は大型プラントの設置か高額な産廃処理委託が必要でしたが、同装置はコンパクトなパッケージユニット化により導入・維持コストを大幅に抑制しました。電解技術によって廃液中の銅イオンを固形金属として効率回収し、売却による収益化を可能にします。今後は銀やスズ、ニッケルなどの回収にも順次展開する計画です。
AI半導体を巡るグローバルな開発競争は、チップの処理性能やデータセンターの規模にとどまらず、製造を裏で支える水や薬品、排水処理、希少金属の回収といった「環境インフラ」の最適化へと主戦場を広げています。半導体産業においては、生産能力の増強と同時に、持続可能な資源循環体制を構築できるかが企業の競争力を大きく左右することになりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













